久保田 宏
公開日: 2016年3月3日
久保田 宏
先ず、この4月から実施される電力の小売り自由化の目的と意義について考えてみる。
今までの「一般電気事業者(電力会社位)」に独占されていた電力の生産・販売事業への自由な参入を広く認める理由としては、政府が、今までの電力会社が、事業の独占によって、必ずしも適正とは言えない電力料金を消費者に押し付けてきたことを暗黙に認めた上で、“自由化”という市場経済原理を導入することで、この体制を改めることだと考えることができる。
であれば、小売り自由化後の電力生産・販売事業への新規参入事業者が、在来の電力会社より安い電力料金を消費者に提示して、電力の販売契約を結ぶことで、国内電力販売量のなかで一定のシェアが得られるようにならなければならない。そこで問題になるのは、新規事業者にとって、現状では、送電線が、在来の電力会社の独占所有物となっていることである。
したがって、電力の小売り自由化後の新規参入事業者が新しく電力販売事業を行うためには、この旧電力会社の送電線を使わなければならない。
政府は、この旧電力会社から送電部門を分離したうえで、この送電線を使用した場合の託送料金を新規参入者、および送電部門を分離した旧電力会社から徴収する仕組みをつくっている。
投稿者: | 久保田 宏 |
Category: | オピニオン(WEB学会誌) |
日付: | 2016年3月3日 |
公開日: 2016年3月3日
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