原発再稼働をどう考えるか
開催日時:2016年4月23日(土)午後15時~17時半
開催場所:清泉女子大学410教室 ※東京都品川区東五反田3-16-21
高浜原発再稼働を受けて、もったいない学会の皆様から多くの意見をいただきました。今回のサロンでは、意見を寄せていただいた方々にパネラーになっていただき、ご意見をもう一度お話しいただき、それをもとに意見交換を行いました。
石井吉徳(故人)、五十嵐敏郎、木村雄一郎、久保田宏、田村八州夫、安藤満
大久保泰邦(司会役)
石井吉徳(故人)
発表資料五十嵐敏郎
「原発の操業と原発事故が私たちの生存を脅かす低線量内部被曝による晩発性の健康傷害について」
久保田宏
「「原発電力の不買のお願い」電力が自由化されて、消費者は何処から電力を買ったらよいでしょうか?」
田村八州夫
発表資料安藤満
「原発事故と健康」
大久保泰邦
あの時の教訓は一体どこに行ったのでしょうか。
右の図は、「市民の科学」(高木任三郎著)の論点の一つをまとめたものです。
ところがエネルギー政策を含めた科学政策は行政府が予算を立て、それに関わる専門家集団がその予算で研究を行うため、閉ざされたグループの活動となり、そのグループからの情報が国民には伝わりにくい構造になり、国民は判断できるだけの十分な知識を持てない状況になっています。
日本以外の多くの国では、閉ざされたグループの外に立つ専門家集団があり、科学政策を評価して国民に伝えており、このメカニズムが民主国家を保障しています。
日本においてはこのメカニズムがほとんどないために、国民は判断ができないのであります。 発表資料
福島第一原発から放射された放射性プルームは一度北西に移動し、経路を大きく変えて南南西に向かい、関東北部に達した。また茨城県南部、千葉県北部に到達したプルームは福島第一原発から一度南側の海に出、南下し、再上陸したと考えられている。
使用済み燃料を再処理して作るMOX燃料はプルトニウムを多量に含む。事故で水素爆発した3号機の燃料はこのMOXであった。プルトニウムはウランよりはるかに毒性が強い。このことは国民に十分知らされていない。
また再処理のためには、使用済み燃料を国内外へ何度も移動させる必要がある。このことも国民に知らされていない。
プルトニウムは核兵器になる。米国がなぜMOXを使うかといえば、核軍縮によって出たプルトニウムを処理する必要があったため。
日本においても高レベル放射性廃棄物を削減する目的で、MOX燃料を使用している。
放射性廃棄物を国外に持ち出して処理しようというアイデアがあるが、これは核不拡散条約などの国際法があり、不可能。
2016年4月号の「学術の動向」に掲載された岩松暉著「「災後」のジオサイエンス」は、原発事故の意味を的確に述べている。
岩松暉学術の動向21_4_78
熊本の地震は阿蘇火山の活動に連動する可能性がある。地震だけでなく火山噴火が起きたら、周辺の原発は大被害を受けることになる。それほど日本の原発は危険である。
ドイツのメルケル首相は、国民運動に押され、脱原発を決断した。日本でもドイツのような国民運動をするべきである。
原発問題の最終責任者は国民である。投票率が低い日本の国民は政治に興味が薄い。それでは良い政治家も生まれないと黒川清氏(国会事故調委員長)は言う。日本で国民運動は可能であろうか。
以上
安藤 満(2016)福島原発被災後の生涯に渡る放射能汚染と健康影響、もったいない学会web学会誌、v.7, pp.25-63.
https://mottainaisociety.org/download/paper/ando20150629.pdf
久保田宏(2016)電力の小売りの自由化;何のために?誰のために?脱原発のための消費者の原発電力不買運動を推進するために、もったいない学会web学会誌オピニオン.
https://mottainaisociety.org/download/opinion/opinion_kubota_20160217.pdf
大久保泰邦(2016)原発再稼働への会員の声、もったいない学会web学会誌オピニオン.
https://mottainaisociety.org/download/opinion/opinion_ookubo20160229.pdf
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