天然ガス

天然ガスの生産のピークは2025年頃と推定されています。
しかし質的には、石油と同じく悪くなってきています。

更に、輸送するために液化が必要で、液化に燃料の2割を費やします(使えるのは8割)。

また、輸送にも1割程度のエネルギーが必要であります。

今後石油の代替として、天然ガスの需要が高まると、可採年数は大幅に短くなると推定されます。また、確認可採埋蔵量の数値自体にも政治的要因・推定精度の問題・用語の定義の不統一などの不確実性があることを認識し、可採年数の解釈には十分注意すべきです。

天然ガスの利点の一つに、石油や石炭に比べ、燃焼したときに温暖化の原因物質である二酸化炭素や、大気汚染の原因である窒素酸化物、硫黄酸化物などの発生が少なクリーンなエネルギーであることです(下図参照)。

このようなクリーンな天然ガスの利用率は、火力発電用や都市ガスの原料として着実に増え続けていまして、一次エネルギー供給構成比として、1970年代初頭は1%台でありましたが、現在は12%以上と大幅に増加しています。

天然ガスは約−162℃で液化する性質があり、この場合気体の約600分の1の体積となり、LNG(Liquefied Natural Gas:液化天然ガス)として大量輸送・貯蔵が可能となっています。なお、LNGと似た言葉にLPG(Liquefied Petroleum Gas:液化石油ガス)がありますが、LPGは石油の精製過程で生成するガスのことで、プロパン、プロピレン、ブタン、ブチレンなどを含みます。

天然ガスの利用方法としては、都市ガス用原料や火力発電用燃料として広く利用されていますが、以下のような新しい利用方法も試みられています。

天然ガスを圧縮して燃料とする天然ガス自動車NGV(Natural Gas Vehicle)が実用化され、すでに世界中で200万台以上が走っているとのことです。

NGVはCNG(Compressed Natural Gas:圧縮天然ガス)自動車とも呼ばれます。
天然ガスから取り出した水素と空気中の酸素との化学反応で電気を作り出す燃料電池も実用化を目指し、開発がすすめられています。

さらに、次世代の天然ガス利用方法として脚光を浴びるGTL(Gas to Liquids:天然ガスの液体燃料化技術) があり、ディーゼル自動車用次世代燃料として注目されています。

最後に非在来型天然ガスを紹介します。タイトサンドガス、コールベッドメタン、メタンハイドレート、シェールガス、地球深層天然ガスなどが非在来型天然ガスとして分類されます。

この中で、コールベッドメタン(石炭の生成・熟成に伴って発生したメタンを主成分とするガスが、炭層中の石炭に保持されているガス)については在来型天然ガスの確認埋蔵量に匹敵する埋蔵量を有すると准定され、米国・オーストラリアなどでは活発に商業生産が実施されているため、「非在来型天然ガス」として分類すべきでないとの意見もあります。

また、メタンハイドレート(水分子がつくる籠の中にメタン分子がとり込まれている氷状の結晶)の資源量についても資源量は豊富(在来型天然ガスのそれ以上)と言われていますが、EPRを算出できる段階ではなく実用化のめどはたっていません。

tennengas

図 石炭を100とした場合の排出比