中田雅彦
最近の石油生産や供給に関する情報を整理して紹介する。
ここでは、いわゆる石油ピーク論よりはむしろ一般的な情報を主体として解析を行った。
今まで石油供給に関して楽観的な見解を述べててきた組織や人たちでさえも、最近になって一斉に供給不足が数年以内に発生すると警告し始め、否定しがたい現実問題になりつつあると判断される。
ただし、このような報道は欧米のみで見られ、日本ではこの種の報道はほとんどない。欧米における情報に基づけば、石油不足による経済的問題は、軟着陸させるにはすでに時期が遅くなりすぎている。
石油に全面的に依存している日本は早急な政策対応が必要である。
緊急対策と同時に長期対策を平行して進めなければならない。
投稿者: | 中田雅彦 |
Category: | 特集号(WEB学会誌) |
日付: | 2008年8月1日 |
公開日: 2008年8月1日
石井吉徳(故人)
「地球は有限」、このあたり前のことを理解すれば、石油ピークは気候変動よりも緊急な課題であることが理解できる。
エネルギーにおいて質が全てであり、EPRを指標とすることにより石油以外の資源を科学的に評価できる。IPCCの温暖化議論は、メタンハイドレート、オイルサンドなど、EPRから疑問のものを未来予測に含めている点、科学的根拠が低い。
また、現在の気温上昇傾向は過去の小氷期からの回復過程であり、人間が化石燃料を大量使用するかなり前から起こっていたのであって、全てが人間が排出した二酸化炭素のせいだとは限らないとする学説も強い。
地球温暖化と石油ピーク問題は共にエネルギー問題であり、その対策に矛盾があってはならない。
そのためには科学的な合理性、理念が欠かせない。
石油ピークは食料ピークであり、エネルギー・資源が本質にある。
イースター島、江戸時代、ローマ帝国などの歴史から学ぶことは、文明の盛衰はエネルギー・資源を浪費したか否かに左右されるという点である。
EPRの座標軸から考え、浪費を控える、もったいないのアジア本来の思想に回帰することが日本のこれからの道である。
投稿者: | 石井吉徳 |
Platforms: | Windows 8 |
Category: | 特集号(WEB学会誌) |
License: | Freeware |
日付: | 2008年8月1日 |
公開日: 2008年8月1日
大久保泰邦
イノベーションとは社会に大きなインパクトを与える技術革新と解釈されている。
経済至上主義においてイノベーションの果たす役割は、革新的技術を社会に生かすため、絶対化、画一化を行い、競争力強化を図り、競争社会を勝ち抜くことである。
しかし米国人のイノベーションは、技術だけに拘らず、芸術のような文化でもかまわないと言う。
昨日と違う新しい今日を創造し、これによって人間を活性化させ、幸せにする。心の豊かさまで包含する点、日本とは考え方が大きく異なる。
心の豊かさを創るにはエネルギー・資源はいらない。
持続可能であり、無限に成長する。
勝ち組も負け組もいない。
日本は経済大国を獲得した代わりに文化、自然、美、時間を失ったと言う。
石油ピークという未曾有の社会を生き抜くためには、もったいないという節約の精神に戻り、心の豊かさを求める社会に回帰しなければならない。
これには価値観の大転換が必要だ。しかし米国の大統領選に見られるような問題の確信について議論し、国民のコンセンサスを作るメカニズムが日本には無い。
また移り変わることに対して受動的に許容する「無常」の美意識はあるが、自ら積極的に変革するとう意識は薄い。
経済至上主義で勝ち残った勝ち組がこれからの日本を動かそうとしている。
またとしても米国に負けたと感じるのである。
投稿者: | 大久保泰邦 |
Category: | 論文(WEB学会誌) |
日付: | 2008年7月2日 |
公開日: 2008年7月2日
横田 俊之
三次元地震探査機は、今までに抽出し得なかった断層まで抽出することが出来る。
これまで、活断層調査に対する適用例は少ないが、その理由は単に費用がかかるためであり、安価な二次元探査で十分満足できる結果が得られる、という判断があったためである。
日本には多数の活断層が存在し、その多くの性状がよく知られていないというのが現状である。
活断層は、比較的小規模でも、我々の生活を脅かす直下型地震の原因となり得る。
阪神淡路の例を挙げるまでもなく、そのような地震は多大な被害を引き起こすが、原子力発電所のような重要建造物がひとたび地震被害をうけるとその影響は多岐にわたり、たいへん深刻なものとなる。
従って、いかに精度よく活断層を抽出するかは非常に重要な問題である。
本稿ではまず、二次元および三次元地震探査の相違点について簡単に説明する。
続いて、三次元の地質構造探査に、二次元地震探査を用いた場合、地下構造解釈を誤る可能性の一例を示す。
以上により、三次元地震探査の有用性および必要性を論じる。
投稿者: | 横田 俊之 |
Category: | 解説(WEB学会誌) |
日付: | 2007年11月22日 |
公開日: 2007年11月22日
(※2007年11月28日に正式ファイルにリプレースいたしました)
大久保泰邦
石油は有限である。
人類は現在までに1兆バレルの石油を消費した。
今後人間が利用できる石油の送料は2−3兆バレルと言われている。
一方、従来型の石油に、オイルサンド、オリノコ重油、オイルシェールを加えれば7.5兆バレルあり、可採年数は280年であるとの主張もある。
オイルサンド、オリノコ重油の原始埋蔵量は約2兆バレルと推定されている。
また、オイルシェールの原始埋蔵量は3兆バレル以上と言われている。
7.5兆バレルの議論はこの原始埋蔵量を基にしている。
しかし、原始埋蔵量とは地下に存在する総量のことである。
石油の寿命を議論する時は、技術的、経済的に生産可能な量である可採埋蔵量を基にしなければならない。
原油の2005年の確認可採埋蔵量は1兆2000バレルである。またオイルサンド、オリノコ重油の可採埋蔵量はそれぞれ1790億バレル、2700億バレルと見積もられている。オイルシェールについては、技術的、経済的に生産可能な量はほぼゼロと言える。
そこで原油の可採年数は40.6年、オイルサンドとオリノコ重油の可採年数はそれぞれ6.0年、9.1年となる。
世界の石油生産は、最初は需要に応じて生産量が増加する。
しかし有限であるためにいつかは生産のピークが訪れ、下降し始める。
これが石油ピークである。
可採年数は石油がある日突然枯渇するまでの年数ということであるが、現実的な指標とはなっていない。むしろ枯渇よりずっとまえに訪れる石油ピークのほうがより実際の生産推移を表し、また現実亭な課題定義となっている。
我々が本当に問題にしなくてはならないのは、可採年数ではなく、石油ピークがいつ来るかである。
投稿者: | 大久保泰邦 |
Category: | 研究ノート(WEB学会誌) |
日付: | 2007年9月14日 |
公開日: 2007年9月14日
大谷正幸
本論文は、石油減耗時代の指針として語られる「農業を基盤としたローカル・コミュニティの再生」の可能性について考察したものである。
都市化が進んで農業が衰退する主要な原因である経済的要因に着目し、その経済的要因が熱力学の第2法則にもとづくエネルギー変換ロスに由来していることを示す。
エネルギー変換効率における物理的制約は、同一エネルギー量で比較した各種エネルギー供給量の関数として経済規模の長期的傾向を再現することができ、都市化が進んで農業が衰退する根本的原因が考察される。
得られた知見にもとづいて、石油消耗時代が展望される。
投稿者: | 大谷正幸 |
Category: | 論文(WEB学会誌) |
日付: | 2007年9月14日 |
公開日: 2007年9月14日