芦田 讓
「もったいない理念」の普及も必要だが、その実践が重要である。
実践の拠点として、NPO法人環境・エネルギー・農林業ネットワーク(EEFA)を設立した。さらに、実践の場としてマダガスカル共和国、ガーナ共和国、マーシャル諸島共和国への支援を行っている。しかし、自立が大切であるから、「最初の支援は行うが、フォローは現地の人々で行ってもらう」ことを我々の基本姿勢としている。
国内では、地域に密着した実践的活動を実施している。
マダガスカル共和国では、マダガスカルの大統領府の招聘により、Madagascar Action Planへの支援・援助のための現地視察を行い、支援計画策定の基礎資料の収集、FSのためのパイロットサイトの選定を行った。
ガーナ共和国では、再生可能エネルギーによる電力で地下水や河川水を汲み上げて灌漑用水として利用したり、逆浸透膜によって浄化して飲料水とするなどの活動を計画している。マーシャル諸島共和国では、太陽光と風力の再生可能エネルギーによってこの装置を稼働させ、海水の淡水化する提案を行った。国内での地域に密着した実践的活動では、京都府南丹市において食料とエネルギーの自給自足の実践を試みている。
石油ピーク後の社会構築は国、市民の両方で考えるべき問題である。アメリカのような社会を目指すのか、エネルギー供給の制限の中で生活しているキューバのような国を目指すのか、それを今のうちによく考えるべきである。
| 投稿者: | 芦田 讓 |
| Category: | 特集号(WEB学会誌) |
| 日付: | 2008年8月1日 |
公開日: 2008年8月1日
金 再奎、岩川 貴志、佐藤 祐一、内藤 正明
最近、わが国でも持続可能社会が各地で模索され始めたが、まだ明確な姿が描かれていない。
我々は”真の持続可能社会”を、環境的・社会的・経済的側面も視野に入れた、社会総体としての持続性を有するものと考えている。そこで、滋賀県を対象に石油文明そのものの転換をも含む新たな社会のビジョンを具体的に描き、そこへの道筋を探ることを試みている。
具体的には、滋賀におけるマクロ経済の動向とその下での民生・産業・運輸部門の諸活動、そしてそれらの活動に伴うエネルギーバランスや二酸化炭素排出構造の変化に至るまでの関係を複数のモデル群により表現、これらを連結することで、社会システムの在り方から環境負荷発生量までを一連のものとして推計することが可能なツールを構築した。
このツールを用いて2030年における滋賀の産業、家庭、業務、運輸部門の活動量を推計した。
それを基に、エネルギー消費量とそれに伴う温室効果ガスの排出量の計算を行い、”2030年時点で温室効果ガス排出を1990年比で50%削減”の目標を達成した滋賀の姿を、定量的にまとめた。
| 投稿者: | 金 再奎、岩川 貴志、佐藤 祐一、内藤 正明 |
| Category: | 特集号(WEB学会誌) |
| 日付: | 2008年8月1日 |
公開日: 2008年8月1日
大久保泰邦
イースター島や江戸時代の例を考えると、資源が有限であることを感知できる、できないがその文明の運命を大きく左右することが分かる。
米国やヨーロッパは石油ピークを経験しており、感知していると考えられるが、日本の国民は経験が無いことから感知していないと思われる。
そこで、ここでは、1つのショック療法として、石油ピークによってもたらされる最悪のシナリオを示し、考えるきっかけを提供したい。
世界の石油生産量が急激に低下し、日本への原油の輸入量が激減した時、世界は硬直化・争奪戦となることが予想される。この時、日本では、一般販売のガソリンが無くなり、通勤は電車が中心だが超満員、電力ピーク時には停電となるであろう。
また、食料の輸送力が不足、輸入食料が激減し、包装を必要とする食品が姿を消し、コンビニエンスストアが閉鎖されると予想される。
また航空機の便数の激減、衣服などの化学製品の不足が起きるはずである。
物価は現在の2倍以上となり、決定、配給制となることが予想される。
最悪のシナリオを回避する最善策はみつからない。というのは石油ピークという社会リスクは我々が経験したことも無いことであり、何が起こるか予測不可能だからである。しかし日本人には「もったいない」で表される有限感が具わっており、あるがままを許容する、自然体の感性がある。
このもったいない精神は、石油ピークという未曾有の社会を生き抜く力を与えてくれるものとなるはずである。
多様な価値観を包含する社会の方が、社会危機の中で最善策を見つける力があり、従来型の生き方を打ち破る可能性がある。一方、あるがままを許容する社会は、多様性が少なく、そのため議論の集約化、意思統一が早く、効率的な発展を遂げる力がある。その反面、社会危機の中では最善策を見つける力、従来型を打ち破る力は弱い。日本はどちらかといえば後者であろうか。
前者と後者は矛盾しているかもしれないが、日本が生き抜くためにはこの矛盾を克服し、両者を兼ね備える必要がある。
| 投稿者: | 大久保泰邦 |
| Category: | 特集号(WEB学会誌) |
| 日付: | 2008年8月1日 |
公開日: 2008年8月1日
中田雅彦
最近の石油生産や供給に関する情報を整理して紹介する。
ここでは、いわゆる石油ピーク論よりはむしろ一般的な情報を主体として解析を行った。
今まで石油供給に関して楽観的な見解を述べててきた組織や人たちでさえも、最近になって一斉に供給不足が数年以内に発生すると警告し始め、否定しがたい現実問題になりつつあると判断される。
ただし、このような報道は欧米のみで見られ、日本ではこの種の報道はほとんどない。欧米における情報に基づけば、石油不足による経済的問題は、軟着陸させるにはすでに時期が遅くなりすぎている。
石油に全面的に依存している日本は早急な政策対応が必要である。
緊急対策と同時に長期対策を平行して進めなければならない。
| 投稿者: | 中田雅彦 |
| Category: | 特集号(WEB学会誌) |
| 日付: | 2008年8月1日 |
公開日: 2008年8月1日
石井吉徳(故人)
「地球は有限」、このあたり前のことを理解すれば、石油ピークは気候変動よりも緊急な課題であることが理解できる。
エネルギーにおいて質が全てであり、EPRを指標とすることにより石油以外の資源を科学的に評価できる。IPCCの温暖化議論は、メタンハイドレート、オイルサンドなど、EPRから疑問のものを未来予測に含めている点、科学的根拠が低い。
また、現在の気温上昇傾向は過去の小氷期からの回復過程であり、人間が化石燃料を大量使用するかなり前から起こっていたのであって、全てが人間が排出した二酸化炭素のせいだとは限らないとする学説も強い。
地球温暖化と石油ピーク問題は共にエネルギー問題であり、その対策に矛盾があってはならない。
そのためには科学的な合理性、理念が欠かせない。
石油ピークは食料ピークであり、エネルギー・資源が本質にある。
イースター島、江戸時代、ローマ帝国などの歴史から学ぶことは、文明の盛衰はエネルギー・資源を浪費したか否かに左右されるという点である。
EPRの座標軸から考え、浪費を控える、もったいないのアジア本来の思想に回帰することが日本のこれからの道である。
| 投稿者: | 石井吉徳 |
| Platforms: | Windows 8 |
| Category: | 特集号(WEB学会誌) |
| License: | Freeware |
| 日付: | 2008年8月1日 |
公開日: 2008年8月1日
大久保泰邦
イノベーションとは社会に大きなインパクトを与える技術革新と解釈されている。
経済至上主義においてイノベーションの果たす役割は、革新的技術を社会に生かすため、絶対化、画一化を行い、競争力強化を図り、競争社会を勝ち抜くことである。
しかし米国人のイノベーションは、技術だけに拘らず、芸術のような文化でもかまわないと言う。
昨日と違う新しい今日を創造し、これによって人間を活性化させ、幸せにする。心の豊かさまで包含する点、日本とは考え方が大きく異なる。
心の豊かさを創るにはエネルギー・資源はいらない。
持続可能であり、無限に成長する。
勝ち組も負け組もいない。
日本は経済大国を獲得した代わりに文化、自然、美、時間を失ったと言う。
石油ピークという未曾有の社会を生き抜くためには、もったいないという節約の精神に戻り、心の豊かさを求める社会に回帰しなければならない。
これには価値観の大転換が必要だ。しかし米国の大統領選に見られるような問題の確信について議論し、国民のコンセンサスを作るメカニズムが日本には無い。
また移り変わることに対して受動的に許容する「無常」の美意識はあるが、自ら積極的に変革するとう意識は薄い。
経済至上主義で勝ち残った勝ち組がこれからの日本を動かそうとしている。
またとしても米国に負けたと感じるのである。
| 投稿者: | 大久保泰邦 |
| Category: | 論文(WEB学会誌) |
| 日付: | 2008年7月2日 |
公開日: 2008年7月2日
横田 俊之
三次元地震探査機は、今までに抽出し得なかった断層まで抽出することが出来る。
これまで、活断層調査に対する適用例は少ないが、その理由は単に費用がかかるためであり、安価な二次元探査で十分満足できる結果が得られる、という判断があったためである。
日本には多数の活断層が存在し、その多くの性状がよく知られていないというのが現状である。
活断層は、比較的小規模でも、我々の生活を脅かす直下型地震の原因となり得る。
阪神淡路の例を挙げるまでもなく、そのような地震は多大な被害を引き起こすが、原子力発電所のような重要建造物がひとたび地震被害をうけるとその影響は多岐にわたり、たいへん深刻なものとなる。
従って、いかに精度よく活断層を抽出するかは非常に重要な問題である。
本稿ではまず、二次元および三次元地震探査の相違点について簡単に説明する。
続いて、三次元の地質構造探査に、二次元地震探査を用いた場合、地下構造解釈を誤る可能性の一例を示す。
以上により、三次元地震探査の有用性および必要性を論じる。
| 投稿者: | 横田 俊之 |
| Category: | 解説(WEB学会誌) |
| 日付: | 2007年11月22日 |
公開日: 2007年11月22日
(※2007年11月28日に正式ファイルにリプレースいたしました)