大久保 泰邦
大谷氏の「ひと夏の経験」と題したコラムは、ハイテクで溢れかえる都市は高品質のエネルギーによって支えられており、エネルギーのEPR(エネルギー収支比)が減衰する、すなわちエネルギーの質が低下するとともに衰退する危険性がある、との私的である。
大谷氏が当学会WEBPAGE学会誌にて発表された「おいそれと帰農できない理由について」(2007)では、農業は人間が必要とするエネルギーを生産することであり、都市を維持するエネルギー量に比べれば、遥かに小さいために、収益が低いことを指摘した。
現代の石油文明は、食料以外に多くの生産物を生み出し、最低限のエネルギーを生産するだけでなく、豊かさを生み出している。我々が労働で消費するエネルギーに加えて、石油などのエネルギーが加わり、生産物を出力しているのであるという、鋭い指摘である。
これに関して大谷氏は、「エネルギー収支比」の父であるCharles Hallに触発されてKurt CobbがEnergy Bulletinに掲載した「The net energy cliff」の論文を私に紹介された。
この論文は、エネルギーの質を表すエネルギー収支比(この論文の中ではEROI(Energy Return on Investment)と読んでいる)と社会に貢献するネットのエネルギーの関係の主張は説得力がある。
投稿者: | 大久保 泰邦 |
Category: | コラム(WEB学会誌) |
日付: | 2008年12月26日 |
公開日: 2008年12月26日