第6回サロン(2月15日)
激変する中東地域と迷走する日本
開催日時:2017年2月15日(水)午後13:15~17:00
開催場所:東京大学本郷キャンパス山上会館201・202会議室
http://www.sanjo.nc.u-tokyo.ac.jp/sanjo/contact/
【開催趣旨】
3.11後、我が国では原発か再生可能エネルギーかの2元論的な議論に終始してきたが、そのどちらも明確な方向性を見いだせないまま迷走を続け、貧困化が社会問題として顕在化してきた。このような状況をどのような視点で切り込み対処すればよいのか現実的な議論を深める必要がある。その一方で、確固たるエネルギー基盤を求めて、いま中東地域の石油資源確保が見直され始めている。しかしながら、我が国にとって極めて重要な位置を占めている中東地域に関する理解は必ずしも充分ではなく、特に安全保障の観点からどのように理解しておく必要があるのかについても議論を深めたい。
プログラム
■13:15-13:45
【講演1】
「食料、エネルギー、そして軍事」-G-Zero化する世界、日本はどう生きるか-
石井吉徳 もったいない学会名誉会長 東京大学名誉教授 元国立環境研究所所長(故人)
要旨:
「未来への問題は3つに分類される。「食料、エネルギー、軍事」、その基本理念は「地球は有限、資源は質が全て」、最後の軍事とは戦争、そこで使われる大量の武器、軍事費、そして生命、自然の喪失のことである。 http://oilpeak.exblog.jp/25814844/ ご参照」
■13:45-14:15
【講演2】
「関西シンポジウム」の報告
五十嵐敏郎 もったいない学会理事 金沢大学
要旨:
2月11日に関西で初めてのシンポジウムを開催します。このシンポジウムは、「地球資源は有限」であるとの根本理念に基づき、未来社会の創造に対し今から行うべき実践的取り組みに焦点をあてた議論を行います。前半は、嘉田評議員・石井名誉会長(故人)・大久保会長・松久会員が根本理念に関して講演します。後半は、京都府・滋賀県・和歌山県・鳥取県・アフリカで行っている実践活動の紹介のあと、総括討論で今後の具体的な取り組みについて議論します。辺境からの収奪と資源の収奪により無限成長を可能にしてきた資本主義経済は、内部からの収奪、すなわち上層への富の移転という禁じ手を行い始め、社会の二分化や中間層の没落といった社会の矛盾を生みだし、トランプ大統領が誕生しました。このような社会の大変革期に、もったいない学会や縮小社会研究会として何をすべきか、考え、議論し、行動に移す切っ掛けになればと考えています。
■14:15-14:30
【前半・総合討論】
■14:30-14:45
【ブレイク】
■14:45-15:45
【講演3】
激変する国際情勢と無縁でない我が国のエネルギー安全保障
奥村直士 日本安全保障戦略研究所 シニアフェロー
要旨:
エネルギー安定供給は人類の清潔・安全・便利・豊かな生活の実現に不可欠で、あらゆるエネルギーの有効活用にも輸送燃料源である原油が必要である。IEA等の主要アウトルックの何れも、数十年後のエネルギーの70~80%は石油・天然ガス・石炭に依存すると予測している。他方、サプライチェーンが国際化しているので、ライフサイクルでの省エネが大切である。資源と平地に乏しく世界有数の激甚自然災害大国である日本は、特に中東産原油資源に依存せざるを得ない。外国資源とシーレーン安全保障に国力が依存する日本の特徴は太平洋戦争当時と何ら変わりなく、一貫して激動する国際社会との安全保障連携に注力せざるを得ない。
■15:45-16:45
【講演4】
ピークオイル後の中東域内秩序展望とエネルギー安全保障
山本達也 清泉女子大学文学部地球市民学科准教授
要旨:
「アラブの春」以降、特に混迷を極めている中東情勢であるが、単に民主化の要求が失敗に終わったというだけの話で済ませてはいけない。今起きている混乱は、エネルギー環境の構造的変化と無縁ではない。この場合の構造的変化とは、産油国内部での変化を示すと共に、全世界的なレベルでの構造的変化も同時に指し示している。「アラブの春」で政治変動が見られたのは、主に非産油国であったが、これからの中東における域内秩序を考えるにあたっては、産油国が直面する困難に注目しなくてはいけない。本報告では、中長期的な中東域内秩序の展望を考えると共に、日本のような原油輸入国におけるエネルギー安全保障の課題について検討していく。
■16:45-17:00
【後半・総合討論】
終了後、懇親会を予定
第5回サロン(1月13日)
開催日時:2017年1月13日(金)午後15:30~17:00
開催場所:東京大学本郷キャンパス山上会館201・202会議室
http://www.sanjo.nc.u-tokyo.ac.jp/sanjo/contact/
プログラム
■15:30-16:30
【講演】
植物の反応をみるー基礎研究から先端的農業や地球観測への応用
大政 謙次(もったいない学会評議員、東京大学名誉教授)
内容は以下のサイトなどで公開されています。
http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/
■16:30-17:00
【話題提供と討論】
遺伝子組換えとゲノム編集
住本 勉(もったいない学会会員)
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もったいない学会緊急討論会(12月9日)
米国大統領選を考える
開催日時:2016年12月9日(金)15:30~17:30
開催場所:清泉女子大学 1号館3階 131教室
東京都品川区東五反田3-16-21
交通アクセス(五反田駅・大崎駅から徒歩10分)
http://www.seisen-u.ac.jp/access/index.php
※到着後、門衛さんに、1号館131教室の場所をお尋ね下さい。
※終了後、忘年会を兼ねた懇親会(希望者のみ)も予定しています。
プログラム
■15:30-15:35
話題提供者紹介
■15:35-16:30
石油ピークが先進民主主義国の政治に与える影響
~このまま民主主義は崩壊してしまうのだろうか?~
山本達也 清泉女子大学文学部地球市民学科准教授
■16:30-17:30
【討論】
コメンテータ:石井吉徳 もったいない学会名誉会長、東京大学名誉教授(故人)
山本達也氏発表要旨:
イギリスは国民投票でEUからの脱退という選択をしました。アメリカ国民は、大統領選挙において「トランプ大統領」を誕生させるという決定を下しました。ここ数年、先進民主主義国では、既存の政治体制や政治エリートに対する不満と不信が急速に高まっています。
スペインのマドリードでの15M抗議運動、アメリカのニューヨークでのウォール街占拠運動、イスラエルのテルアビブでの抗議運動、アテネのシンタグマ広場での反緊縮デモ、イギリスのロンドンでのフォーカスE15マザーズ公営住宅占拠運動など、「腐敗したエリートvs.無垢の民衆」といった抗議活動も活発化しています。叫ばれているのは、「本当のデモクラシーを!」「経済のデモクラシーを!」「われわれが反体制なのではない、体制が反民衆なのだ!」といったスローガンです。
移民排斥を訴える極右のポピュリズム運動も、人々の支持を集め始め、議会で議席数を伸ばしているほか、ハンガリーでは首相まで生み出しています。このように、近年の先進民主主義国が直面している問題は、議会制民主主義の機能不全と連動した政治不信の高まりです。
こうした政治状況を「石油ピーク」の視点から見ると、どのように説明されるのでしょうか。また、今後どのようになっていくと予測されるのでしょうか。このサロンでは、「石油ピークと政治」について、皆さんと一緒に考えていきたいと思います。
話題提供者プロフィール:
山本達也
清泉女子大学文学部地球市民学科准教授。もったいない学会理事。専攻は、国際関係論・公共政策論・情報社会論。
1975年、東京都生まれ。慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科後期博士課程修了。博士(政策・メディア)。2002年よりシリア国立アレッポ大学学術交流日本センター主幹として、約3年間、シリアのアレッポ市に滞在。シリア、エジプト、ヨルダン、レバノン、チュニジア、UAEなどでのフィールドワークを通して、アラブ・イスラーム圏のインターネット・コントロール政策について研究を行う。近年は、「情報通信技術」と「エネルギー関連技術」との交錯領域に着目しつつ、地球社会の構造的変化に関する研究に取り組んでいる。
主著に、『革命と騒乱のエジプト:ソーシャルメディアとピーク・オイルの政治学』(慶應義塾大学出版会、2014年)、『アラブ諸国の情報統制:インターネット・コントロールの政治学』(慶應義塾大学出版会、2008年)、『清泉女子大学地球市民学科の挑戦:21世紀の学びをフィールドワークに求めて』(共著、高文研、2014年)、『ネットの高い壁:新たな国境紛争と文化衝突』(共著、NTT出版、2009年)など。
http://www.tatsuyayamamoto.com/
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第4回サロン(10月28日)
開催日時:2016年10月28日(金)午後14:30~17:00
開催場所:東京大学弥生講堂会議室
http://www.agc.a.u-tokyo.ac.jp/pdf/yayoi_map.pdf/
プログラム
■14:30-15:30
「人類生存の科学」-日本列島で生きる(1)、
3つの重要なキーワード 「食糧、エネルギー、そして軍事」―エネルギーを主題に
石井 吉徳(もったいない学会名誉会長、東京大学名誉教授)(故人)
※発表資料はシフトムに掲載されました。
<シフトムへのリンク → http://shiftm.jp/?p=697>
■15:30-15:45
休憩
■15:45-17:00
植物の反応をみるー基礎研究から先端的農業や地球観測への応用―(前半)
中国の再生可能エネルギー事情(後半)
大政 謙次(もったいない学会評議員、東京大学名誉教授)
終了後、懇親会を予定
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第3回サロン(9月6日)
もったいない学会勉強会 第1回
開催日時:2016年9月6日(火)午後14:30~17:00
開催場所:東京大学山上会館会議室201・202
http://www.u-tokyo.ac.jp/campusmap/cam01_00_02_j.html/
プログラム
第1部
14:30-15:30
講義
講師:久保田宏
演題:化石燃料の枯渇がもたらす経済成長の終焉
休憩
第2部
15:40-17:00
討論
論点:科学技術の視点から、日本経済の生き残りのためのエネルギー政策を議論する。
終了後、懇親会を予定
教科書
久保田宏・他著「化石燃料の枯渇がもたらす経済成長の終焉」を教科書とします。
教科書について詳しい情報は、以下のサイトを参照のこと。
https://mottainaisociety.org/wp-content/uploads/2016/06/kubota_hirata_matsuda_book_information.pdf
当日1000円にて販売予定。
続きを読む第2回サロン(6月2日)
開催日時:2016年6月2日(木)午後15:10~17:00
開催場所:東京大学山上会館会議室201・202
プログラム
15:10-15:20
挨拶
石井 吉徳(東京大学名誉教授、元国立環境研究所所長)(故人)
15:20-15:50
【アブダビ石油大学との連携を通して見えてきたもの --- エネルギー・資源論的視点から】
松島 潤(東京大学准教授)
2011年度から経済産業省の支援により、アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビ石油大学(The Petroleum Institute, Abu Dhabi)との連携を進める機会を得て、共同研究・人材交流を行っています。
日本において「資源工学」を冠する学科・専攻が激減してきている一方で、石油を「マネー」で買う時代から「技術」で買う時代に突入しており、このまま行けば自主開発原油比率は減少し(現状は2割程度、政府目標4割)、常にマーケット価格に左右される状況に陥り、ますます富が縮小してしまうことが予想されます。
産油国の資源ナショナリズムが進行する中でUAEは油田鉱区を国外資本に解放しており、日本にとって第2位の原油輸入国であり(1位はサウジアラビアですが鉱区は解放していません)、極めて重要な国であると言えます。その国のアブダビ国営石油会社の研究機関として位置づけられているアブダビ石油大学との連携を通じて見えてきたものを紹介し、エネルギー・資源論的視点から将来のあるべき方向について考察したいと思います。
15:50-16:00
【福島第一原発から放出された放射性プルーム】
大久保 泰邦(産業技術総合研究所)
2011年3月12日から15日にかけて福島第一原発で3度の水素爆発が起こった。
この一連の爆発で、放射性物質を含む雲、つまり放射性プルームが発生した。その行方について検討する。
16:00-17:00
【原発再稼動問題と再生可能エネルギーの展望】
中野 桂(滋賀大学経済学部)
全国的に原発再稼動へ向けた動きがあるが、関西を中心とした仮処分などの裁判の現状を報告しました。
また、再生可能エネルギーの将来的な展望について世界では今どんな試みがあるのかについても簡単な報告をいたしました。
終了後懇親会
続きを読むもったいない学会討論会報告
原発再稼働をどう考えるか
開催日時:2016年4月23日(土)午後15時~17時半
開催場所:清泉女子大学410教室 ※東京都品川区東五反田3-16-21
高浜原発再稼働を受けて、もったいない学会の皆様から多くの意見をいただきました。今回のサロンでは、意見を寄せていただいた方々にパネラーになっていただき、ご意見をもう一度お話しいただき、それをもとに意見交換を行いました。
石井吉徳(故人)、五十嵐敏郎、木村雄一郎、久保田宏、田村八州夫、安藤満
大久保泰邦(司会役)
石井吉徳(故人)
五十嵐敏郎
「原発の操業と原発事故が私たちの生存を脅かす低線量内部被曝による晩発性の健康傷害について」
久保田宏
「「原発電力の不買のお願い」電力が自由化されて、消費者は何処から電力を買ったらよいでしょうか?」
田村八州夫
安藤満
「原発事故と健康」
大久保泰邦
あの時の教訓は一体どこに行ったのでしょうか。
右の図は、「市民の科学」(高木任三郎著)の論点の一つをまとめたものです。

ところがエネルギー政策を含めた科学政策は行政府が予算を立て、それに関わる専門家集団がその予算で研究を行うため、閉ざされたグループの活動となり、そのグループからの情報が国民には伝わりにくい構造になり、国民は判断できるだけの十分な知識を持てない状況になっています。
日本以外の多くの国では、閉ざされたグループの外に立つ専門家集団があり、科学政策を評価して国民に伝えており、このメカニズムが民主国家を保障しています。
日本においてはこのメカニズムがほとんどないために、国民は判断ができないのであります。
福島第一原発から放射された放射性プルームは一度北西に移動し、経路を大きく変えて南南西に向かい、関東北部に達した。また茨城県南部、千葉県北部に到達したプルームは福島第一原発から一度南側の海に出、南下し、再上陸したと考えられている。
使用済み燃料を再処理して作るMOX燃料はプルトニウムを多量に含む。事故で水素爆発した3号機の燃料はこのMOXであった。プルトニウムはウランよりはるかに毒性が強い。このことは国民に十分知らされていない。
また再処理のためには、使用済み燃料を国内外へ何度も移動させる必要がある。このことも国民に知らされていない。
プルトニウムは核兵器になる。米国がなぜMOXを使うかといえば、核軍縮によって出たプルトニウムを処理する必要があったため。
日本においても高レベル放射性廃棄物を削減する目的で、MOX燃料を使用している。
放射性廃棄物を国外に持ち出して処理しようというアイデアがあるが、これは核不拡散条約などの国際法があり、不可能。
2016年4月号の「学術の動向」に掲載された岩松暉著「「災後」のジオサイエンス」は、原発事故の意味を的確に述べている。
熊本の地震は阿蘇火山の活動に連動する可能性がある。地震だけでなく火山噴火が起きたら、周辺の原発は大被害を受けることになる。それほど日本の原発は危険である。
ドイツのメルケル首相は、国民運動に押され、脱原発を決断した。日本でもドイツのような国民運動をするべきである。
原発問題の最終責任者は国民である。投票率が低い日本の国民は政治に興味が薄い。それでは良い政治家も生まれないと黒川清氏(国会事故調委員長)は言う。日本で国民運動は可能であろうか。
以上
安藤 満(2016)福島原発被災後の生涯に渡る放射能汚染と健康影響、もったいない学会web学会誌、v.7, pp.25-63.
https://mottainaisociety.org/download/paper/ando20150629.pdf
久保田宏(2016)電力の小売りの自由化;何のために?誰のために?脱原発のための消費者の原発電力不買運動を推進するために、もったいない学会web学会誌オピニオン.
https://mottainaisociety.org/download/opinion/opinion_kubota_20160217.pdf
大久保泰邦(2016)原発再稼働への会員の声、もったいない学会web学会誌オピニオン.
https://mottainaisociety.org/download/opinion/opinion_ookubo20160229.pdf
第1回サロン(4月23日)
もったいない学会討論会開催
原発再稼働をどう考えるか
開催日時:2016年4月23日(土)午後15時~17時半
開催場所:清泉女子大学410教室
東京都品川区東五反田3-16-21
※清泉女子大学アクセス(マップ参照):http://www.seisen-u.ac.jp/access/index.php
〒141−8642 東京都品川区東五反田3−16−21 TEL 03−3447−5551(代)
(門衛所で、410教室の場所をお尋ねください。門衛さんが、地図を使って案内をして下さいます。)
プログラム
パネラー(敬称略):
・石井吉徳(故人)
・五十嵐敏郎
・木村雄一郎
・久保田宏
・田村八州夫
・廿日出郁夫
・大久保泰邦(司会役)
主な議題:
・原発再稼働
・健康への影響
・電力自由化
・原発不買運動、など
懇親会:
討論会終了後、五反田駅近くで開催