大久保泰邦
イノベーションとは社会に大きなインパクトを与える技術革新と解釈されている。
経済至上主義においてイノベーションの果たす役割は、革新的技術を社会に生かすため、絶対化、画一化を行い、競争力強化を図り、競争社会を勝ち抜くことである。
しかし米国人のイノベーションは、技術だけに拘らず、芸術のような文化でもかまわないと言う。
昨日と違う新しい今日を創造し、これによって人間を活性化させ、幸せにする。心の豊かさまで包含する点、日本とは考え方が大きく異なる。
心の豊かさを創るにはエネルギー・資源はいらない。
持続可能であり、無限に成長する。
勝ち組も負け組もいない。
日本は経済大国を獲得した代わりに文化、自然、美、時間を失ったと言う。
石油ピークという未曾有の社会を生き抜くためには、もったいないという節約の精神に戻り、心の豊かさを求める社会に回帰しなければならない。
これには価値観の大転換が必要だ。しかし米国の大統領選に見られるような問題の確信について議論し、国民のコンセンサスを作るメカニズムが日本には無い。
また移り変わることに対して受動的に許容する「無常」の美意識はあるが、自ら積極的に変革するとう意識は薄い。
経済至上主義で勝ち残った勝ち組がこれからの日本を動かそうとしている。
またとしても米国に負けたと感じるのである。
投稿者: | 大久保泰邦 |
Category: | 論文(WEB学会誌) |
日付: | 2008年7月2日 |
公開日: 2008年7月2日