大久保 泰邦
石油ピークとは?
石油ピークとは、石油の生産のピークのことです。
一度増えた石油の生産は、やがてピークを迎え、必ず減退します。なぜなら石油は有限だからです。石油の枯渇とは生産量がゼロになることですから、石油ピークは枯渇のずっとまえに訪れることになります。
石油ピークが来ると何が起こる?
石油生産の歴史は世界の歴史そのものであり、石油ピークが到来すると、経済の混乱が起き、戦争が起きるという、この繰り返しになっています。
石油ピークはいつごろか?
石油生産量は伸び続け、1980年代半ばに発見料を上回りました。
すなわち、残っている石油の量、残存埋蔵量はそれ以来、年々少なくなっています。
ボーリングの世界最高深度は8850mであります。もうすでに8000mの深さまで掘り尽くしているのです。今後巨大油田をいくつも発見できる可能性は小さいと言えます。現在利用できるデータから考えると石油ピークは遅くとも2020年、早ければ2010年には到来します。
石油がなくなるとなぜ困るの?
我々の周りには石油製品で溢れかえり、石油で動いています。
なぜなら石油は大変便利なもので、素晴らしい力を秘めているからです。それを毎年プール250万杯分も使ってもまだまだあり、、おまけに安いのです。
この便利な資源に変わるものは残念ながらありません。無くなれば、大変なことが起こることが容易に想像できます。
なぜ石油ピークが出来るのか?
石油は一箇所蛇口を開ければ全部の石油が出てくるようなタンクのようなところにあるわけではなく、地中の地層の中に浸み込んで存在しているのです。
石油は地層の圧力でもって雑巾を絞るように押し出されます。しかし圧力が低下すれば、押し出される量も減少します。そこで生産量を一定に保とうとするのでありますが、それに反して時間とともに油層全体の圧力低下が起こり、生産ピークが出来上がります。
石油はどこからやって来たのでしょうか?
石油は海に溜まった生物の紫外から生まれました。
植物プランクトンは、太陽によって光合成をし、二酸化炭素を高エネルギーの糖質に変化させました。プランクトンの死骸は、海の浅いところで醸成され石油となるのです。
石油は適度な温度と圧力があってゆっくりと醸成されます。
石油が逃げ出さないように、蓄えるお椀をかぶせたような背斜構造とキャップロックという不透水性の地層がその上を覆うといった地質構造も必要であります。
世界の残存確認埋蔵量のうち、60%以上を中東が占めています。
なぜなら中東はこの条件にぴったりだったからです。
資源エネルギー制約が全てを支配する
資源エネルギーが制約する社会とは、資源エネルギーの量が制約されており、そのため、生産量、消費量、排気量の全てを制約するものです。
石油ピークはこの資源エネルギー制約の一つですから、我々の現代社会の全てを制約します。
石油ピークへの対策は現代が抱える全ての課題を克服できる
石油ピークを理解すると、金融資本主義の崩壊、地球温暖化、人口爆発、南北格差、テロ国家の出現、人材の流動化などの世界の課題の意味を理解することができます。
石油ピークを克服する対策を議論しましょう。
そうすれば世界が今抱えている課題の解決策は自動的に思い浮かぶのです。
投稿者: | 大久保 泰邦 |
Category: | 研究ノート(WEB学会誌) |
日付: | 2010年10月22日 |
公開日: 2010年2月22日