大久保泰邦
石油は有限である。
人類は現在までに1兆バレルの石油を消費した。
今後人間が利用できる石油の送料は2−3兆バレルと言われている。
一方、従来型の石油に、オイルサンド、オリノコ重油、オイルシェールを加えれば7.5兆バレルあり、可採年数は280年であるとの主張もある。
オイルサンド、オリノコ重油の原始埋蔵量は約2兆バレルと推定されている。
また、オイルシェールの原始埋蔵量は3兆バレル以上と言われている。
7.5兆バレルの議論はこの原始埋蔵量を基にしている。
しかし、原始埋蔵量とは地下に存在する総量のことである。
石油の寿命を議論する時は、技術的、経済的に生産可能な量である可採埋蔵量を基にしなければならない。
原油の2005年の確認可採埋蔵量は1兆2000バレルである。またオイルサンド、オリノコ重油の可採埋蔵量はそれぞれ1790億バレル、2700億バレルと見積もられている。オイルシェールについては、技術的、経済的に生産可能な量はほぼゼロと言える。
そこで原油の可採年数は40.6年、オイルサンドとオリノコ重油の可採年数はそれぞれ6.0年、9.1年となる。
世界の石油生産は、最初は需要に応じて生産量が増加する。
しかし有限であるためにいつかは生産のピークが訪れ、下降し始める。
これが石油ピークである。
可採年数は石油がある日突然枯渇するまでの年数ということであるが、現実的な指標とはなっていない。むしろ枯渇よりずっとまえに訪れる石油ピークのほうがより実際の生産推移を表し、また現実亭な課題定義となっている。
我々が本当に問題にしなくてはならないのは、可採年数ではなく、石油ピークがいつ来るかである。
投稿者: | 大久保泰邦 |
Category: | 研究ノート(WEB学会誌) |
日付: | 2007年9月14日 |
公開日: 2007年9月14日