久保田 宏
1.FIT制度の適用を受けたバイオマス発電量は余りにも小さい
NPOバイオマス産業ネットワーク(BIN)のバイオマス白書 2016年(文献 1 )から、2015 年12月末時点で、再生可能エネルギー(再エネ)固定価格買取制度(FIT制度)の認定を受けたバイオマス発電設備容量(ただし、石炭混焼のバイオマス発電でのバイオマス利用比率から計算した設備容量の値を含むが、正味でプラスのエネルギーを生産しないメタン発酵の値は除外した)は、2,818,792 kWである。
いま、このバイオマス発電設備の年間平均の設備稼働率を0.8 と仮定すると、
(バイオマス発電量)= (設備容量2,818,792 kW)
×(年間平均設備稼働率 0.8)×(8,760 h/年)= 197.5 億kWh/年
と計算される。
これは、日本エネルギー経済研究所の統計データ(エネ研データと略記、文献 2 )に記載の2014 年度の国内総発電量 10,536.3 億kWh.の僅か1.87 % にしかならない。ただし、これは認定済みの設備での発電量の推定値である。
同じデータ(文献 1 )から、現在稼働中の設備の発電量を、同様にして、設備容量の値459,696 kWから推算してみると、32.2 億kWh/年で、上記の認定量の 16.3 %、国内総発電量に占める比率は0.31 % と極めて僅かな値にしかならない。
投稿者: | 久保田 宏 |
Category: | オピニオン(WEB学会誌) |
日付: | 2016年10月26日 |
公開日: 2016年10月26日
久保田 宏
(デフレ脱却のためとする2 %物価上昇は、誰のために必要なのか?)
1990年代から続いたデフレの脱却のために、2 % の物価上昇を達成させなければならないとするのが、日銀黒田総裁による異次元とも言われる量的金融緩和政策のようである。
しかし、この最終目標の2 % の物価上昇が、黒田総裁の就任以来3年半以上たった今も達成されていない。
そこで、この金融緩和の手法を修正しようとしたのが、今回(2016年9月21日)開かれた日銀の金融政策決定会合であるらしい。
ここで、ようであるとか、あるらしいと書いたのは、経済学の知識に疎い私どもには、今回の会合の内容を報じた新聞(朝日新聞(2016/9/22))で読んでもその内容が必ずしも十分には理解できないからである。
しかし、このよく判らないとするだけで、いま、苦境にあると言われる日本経済を左右する金融政策が果たしてこれでよいのだろうかとの素朴な疑問は拭い去れない。
この金融緩和政策が始まった当初から、私どもがずーっと疑問に思っていたこと、それは、「一体、誰のために物価を2 %上昇させなければならないのか」と言うことである。
投稿者: | 久保田 宏 |
Category: | オピニオン(WEB学会誌) |
日付: | 2016年10月2日 |
公開日: 2016年10月2日
橋本 正明
我々の住む世界には様々な分野で多岐に渡る問題がある。
しかし、いかに細分化・専門化しようとも世界は一つであり、個々の事象はその一部を切り取っているに過ぎない。
私 は今や個々人が把握しきれなくなってしまった世界のカタチを私なりのやり方で論文として炙り出してみようと思い立った。
それは三つの大きなくくりで構成する。まずAは様々な資源に起因する諸問題について、Bは再生可能エネルギーの可能性、Cでは我々はどこに向かうべきか考察する。
以下は私がC部の3番目の章と位置付け、今後の日本の在り方を考える上で重要且つ早急に論じられるべきエネルギー問題に関する論考である。
投稿者: | 橋本 正明 |
Category: | オピニオン(WEB学会誌) |
日付: | 2016年9月21日 |
公開日: 2016年9月21日
久保田 宏
世界経済が低迷しているなかで、この低迷からの脱却を図るために、日本が先頭に立って世界経済を引っ張っていく。それが、先の伊勢志摩サミットで安倍政権が世界のG’7の首脳に訴えたアベノミクスの第3の矢、財政出動による経済成長である。
しかし、成長にはエネルギーが必要である。いま、世界の経済成長を支えてきたエネルギー源の化石燃料の枯渇が言われるなかで、このエネルギー消費の節減を図りながら経済成長を図ろうとしてきた資本主義経済のトリックが、もはや限界に達してきている。
投稿者: | 久保田 宏 |
Category: | オピニオン(WEB学会誌) |
日付: | 2016年7月7日 |
公開日: 2016年7月7日
久保田 宏
朝日新聞 2016/6/21掲載の「参院選 9 党の公約(要約)」のなかで、自民党は「アベノミクスさらに加速」として、私たちの子や孫に平和で豊かな日本を引き渡すために、「アベノミクスのエンジンを最大限にふかすことで、デフレからの脱出速度をさらに上げていく」と訴えている。いま、安倍政権は、株価の引き上げなどで国民のごく一部の金持ちに利益をもたらしているアベノミクスの成果を強調することで、選挙の票を集めて、念願の憲法改正を実現して、日本を軍事大国に再生しようと図っている。これが、果たして、日本経済の将来にとって利益をもたらすのであろうか。
投稿者: | 久保田 宏 |
Category: | オピニオン(WEB学会誌) |
日付: | 2016年7月7日 |
公開日: 2016年7月7日
久保田 宏
先ず、この4月から実施される電力の小売り自由化の目的と意義について考えてみる。
今までの「一般電気事業者(電力会社位)」に独占されていた電力の生産・販売事業への自由な参入を広く認める理由としては、政府が、今までの電力会社が、事業の独占によって、必ずしも適正とは言えない電力料金を消費者に押し付けてきたことを暗黙に認めた上で、“自由化”という市場経済原理を導入することで、この体制を改めることだと考えることができる。
であれば、小売り自由化後の電力生産・販売事業への新規参入事業者が、在来の電力会社より安い電力料金を消費者に提示して、電力の販売契約を結ぶことで、国内電力販売量のなかで一定のシェアが得られるようにならなければならない。そこで問題になるのは、新規事業者にとって、現状では、送電線が、在来の電力会社の独占所有物となっていることである。
したがって、電力の小売り自由化後の新規参入事業者が新しく電力販売事業を行うためには、この旧電力会社の送電線を使わなければならない。
政府は、この旧電力会社から送電部門を分離したうえで、この送電線を使用した場合の託送料金を新規参入者、および送電部門を分離した旧電力会社から徴収する仕組みをつくっている。
投稿者: | 久保田 宏 |
Category: | オピニオン(WEB学会誌) |
日付: | 2016年3月3日 |
公開日: 2016年3月3日