石川 宏
7 年前から東京都日野市の自宅にガイガーカウンタを設置し放射線量を計測し、そのデータを「ナチュラル研究所」のホームページ(1)にリアルタイムで表示をしていたところ、今回の福島第一原子力発電所事故で、日野市にも放射性物質が飛来し、異常データをキャッチした。多くのかたがこのホームページをご覧になり、思わぬ反響があったので、その顛末を報告する(2)。
またその後も計測を続け、長期間の変化をフーリエフィルタで抽出すると、遠隔地でありながら現地の様子をかなり詳細に読み取ることが出来る。さらに非線形最小自乗法で分析することにより、従来ガイガーカウンタで不可能とされていた放射性物質(核種)ごとの放射線量を求めることができることを示す。
投稿者: | 石川 宏 |
Category: | 論文(WEB学会誌) |
License: | Freeware |
日付: | 2013年2月14日 |
公開日: 2013年2月14日
大久保 泰邦
スイスは一人当たりの GDP が日本以上で、裕福な国である。
スイスのカントンは、それぞれ人間集団の基本生活を営むための要素を有すバイオリージョンとなっている。
スイス成立は、自立したカントンが一つ一つスイス連邦に加盟していったことによるもので、その意味でスイスは真の連邦国である。
自立したカントンの社会を見ると、低エネルギー社会に必要な要素がたくさん見られる。
それは、
(1)地元の地勢を生かしたエネルギー生産、(2)小都市とその周辺の農業地域、(3)地元の特産品、(4)放牧、木材生産ができる山地、(5)畜産と作物農業の一体化、(6)都市内には太陽光や風などの自然エネルギーを有効利用できる低層ビルと住宅、(7)都市内には路面電車と自転車道路が完備、(8)輸送、移動のための隣の地域につながる鉄道、(9)機械による大量生産でなく、人手による小規模生産、である。最後にもっとも重要な要素は、(10)自分の周りの問題は、自分で考え、自分で解決する自立心である。
スイス人にはこの自立心がある。そのためエネルギーや食料をなんとか自給しようと努力する。
スイスは穀物栽培の適地が少なく、輸入せざるを得なかった。昔、外貨を稼ぐ産業が無かった時代、他国のために戦う傭兵が産業となった。自分の血で食料を確保したのである。この歴史がスイス人の自立心を育んだ。
スイスでは農民と工業労働者が混合した形態をとったため、小規模工場が多数発生し、大量生産ではなく高度な技術による手作りの工業が発展した。
一人当たりの二酸化炭素排出量は日本の約半分で、少ない石油消費で大きな収入を得る工業生産をしている。
スイスは一次エネルギーの確保が難しくなっても、現在の生活を維持できるであろう。スイスを参考に、これからの日本の低エネルギー社会を考えて行く必要がある。日本では江戸時代の藩がバイオリージョンであった。
しかしそれは幕府によって強制的に作られたものであり、スイスの市民の意思で作り出したバイオリージョンと異なる。
日本の歴史を振り返ると、自給自足ができるバイオリージョンを作ることは難しいといえる。
投稿者: | 大久保 泰邦 |
Category: | 研究ノート(WEB学会誌) |
日付: | 2012年11月12日 |
公開日: 2012年11月12日
安藤 満
2011 年 3 月 11 日東北地方太平洋沖地震(マグニチュード Mw: 9.0)の津波による震災が起こってから、現在 15 ヶ月過ぎている。それ以降東京電力福島第 1 原子力発電所に、重大な破壊が引き起こされている。震災以来原子力発電所(原発)近辺の大気、土壌、陸水、海水環境がヨウ素-131、セシウム-137、セシウム-134 等の放射性物質によって著しく汚染されている。原発から放出された放射能汚染の湿性沈着と乾性沈着によって、環境と食品が汚染されている。
原発周辺の土壌は高度の放射性物質汚染に曝され、事故後日本の広い範囲が汚染され、原発から 170 km 離れたつくば市の大気中に低濃度の放射性物質が検出された。
現在、原発事故により汚染地域から約 16 万人の人々が避難している。
放射能汚染への怖れから、多数の人々が原発から離れた非汚染地域へ逃避している。
放射線や放射性物質は多種のがんやある種の白血病(白血球のがん)の原因であることが知られている。
がん発症やがん死亡率に関する最も重要な疫学資料は、広島・長崎の原爆投下被爆生存者の生涯に渡る追跡調査である。
さらに最近の研究は、チェルノブイリ原発事故による放射線と放射性物質に高濃度曝露を受けた 60 万人以上のチェルノブイリ原発作業員の白血病発生率が、倍加していることを報告している。
将来に渡り多数の乳幼児、児童、母親が高い放射性汚染物質の地域に住むことになるため、健康診断の徹底が必要である。
投稿者: | 安藤 満 |
Category: | 論文(WEB学会誌) |
日付: | 2012年7月10日 |
公開日: 2012年7月10日
鎗谷 浩明・松島 潤
本研究ではエネルギーの質を測る指標であるエネルギー収支比(EROI)を用いて、日本社会の持続性についての包括的な分析を行った。
まず、エネルギーの質・量の双方から現在の日本のエネルギー事情を捉えるため、各種エネルギーの供給量と EROI を求め、グラフを作成した。その結果、日本全体における EROI の値は年々減少する傾向が確認され、また化石燃料に代わるエネルギーとして期待されている各種再生可能エネルギーが、供給量・EROI 共に化石燃料と比べて低い値を示していることがわかった。
次に、社会が持続するために必要な最小 EROI を求めた。
本研究では、運輸システムを維持することが社会の持続のための最低条件であると考え、原油の燃料としての使用過程まで考慮に入れたEROI が1以上であれば、運輸システムは成立し、社会の持続性は保たれるとした。
以上の仮定を置いて計算を行った結果、社会の持続に必要な最小 EROI は 1.4 と導かれた。
つまり、EROI が 1.4 を下回ると、運輸システムが担保されないために、社会活動は確実に成り立たない。
ただし、この値を超えれば現在の社会活動が維持できる十分条件を意味せず、石油を運輸システム維持だけに使い、それ以外の自国内消費には全く使わない社会を意味し、エネルギー収支の観点から社会の持続性を確保できる最低必要条件を定量的に評価する指標の一つとして考えられる。
投稿者: | 鎗谷 浩明・松島 潤 |
Category: | 論文(WEB学会誌) |
License: | Freeware |
日付: | 2012年4月23日 |
公開日: 2012年4月23日