黒原 大輔・松島 潤
2000年代後半の原油高騰を背景に、また循環型社会構築に向けて、自動車の燃料としてバイオ燃料を使用することが注目されている。
この流れの一環として、廃食油をリサイクルすることによりBDFを取り出し、自動車燃料として使用する取り組みが自治体等で行われている。
本研究では、このBDFのエネルギー収支分析を行い、それぞれ4.9、5.7という結果を得、他のバイオ燃料と比較した結果、有効なエネルギー源であることがわかった。
また、この研究の家庭でBDFの生成にどれだけのエネルギー投入が必要であるかが明らかとなり、これを元にBDFのさらなる効率的利用への提言を行った。
投稿者: | 黒原 大輔・松島 潤 |
Platforms: | Windows 8 |
Category: | 論文(WEB学会誌) |
License: | Freeware |
日付: | 2015年5月4日 |
公開日: 2010年11月2日
岩崎 裕・松島 潤
新エネルギーには、太陽光発電、太陽熱発電、雪氷熱発電、バイオマス、地熱発電、風力発電、マイクロ水力発電などがあり、エネルギー現の多角化が図られている。
しかし、新エネルギーは大半が太陽や風力などの自然エネルギーであり、これらはエネルギー密度が低いため、石油に替わるエネルギー源に成り得ないという考え方も存在する。
そこで、新エネルギーの”質”について分析を行い、既存のエネルギーとの定量的な比較を行うことで、新エネルギーの代替可能性について検討する必要がある。
エネルギーの”質”を評価するための科学的アプローチとして、エネルギー収支分析がある。エネルギー終始分析とはEPR(Energy Profit Raito:エネルギー収支比)を求め、その値をもってエネルギーの”質”を評価していく分析方法である。
最近注目されている新エネルギーの1つにマイクロ水力発電があるが、エネルギー収支分析はまだ行われていない。
そこで実際に稼働しているマイクロ水力発電を視察・調査し、エネルギー収支分析を行った。
その結果、発電が十分にできるほどの水量や落差の確保が容易である地点におけるマイクロ水力発電はEPRが高く、エネルギーの”質”の観点では有望な発電システムであると結論付けた。
ただし、蓄電池を導入するとEPRが低下してしまうため、例えば夜間発生するエネルギーは蓄電池に蓄えるより捨てたほうが効率的であると解釈できる。
また、今回の評価対策は商業的に操業していない場合であることも、評価結果を解釈する場合に注意を要する。
投稿者: | 岩崎 裕・松島 潤 |
Category: | 論文(WEB学会誌) |
日付: | 2010年8月31日 |
公開日: 2010年8月31日
大久保 泰邦
石油生産の状況を見ると、石油ピークは到来しつつあると考えられる。
欧米や中国は石油生産の豊富な経験から石油ピークを実感し、石油ピーク後の世界を想定して国家政策、企業経営を進めている。
しかし、日本は石油生産の経験に乏しく、石油ピークを意識した制作、企業経営となっていない。
米国は、広大な土地を使って、不毛の地からエネルギーを生産し、既存産業から新産業へ転換を試み、世界の覇権を維持しようとしている。
欧州は、多様な国家群の特徴を生かして、相互補完体制を築き、エネルギーの相互依存、基礎科学における知財と施設を共有化し、新たな国際競走に勝ち抜く社会に変貌しようとしている。
中国は、国内の巨大市場をベースにエネルギー・資源の余裕がある間に新しい中国を作り、石油ピーク後は原子力発電を行い、資源を持つもの作り国家として世界に君臨しようとしている。
一方、日本の政府は国際の場での主導権を獲得することに主眼を置き、マスコミは商業主義に陥りメジャーな見解だけで多様な見解を提示せず、学者・研究者はハイテクでエネルギー問題を解決できると思い、政策立案者は石油ピークの恐ろしさを理解していない。
自然エネルギーの開発や省エネルギーという科学政策は一見どの国も同じように見えるが、欧米や中国が目指すゴールは、石油ピーク後の社会づくりである。
石油ピークの影響の大きさと、それに対する対策の手薄さを考えると、日本は崩壊する可能性すらある。
投稿者: | 大久保 泰邦 |
Category: | 論文(WEB学会誌) |
日付: | 2010年8月16日 |
公開日: 2010年8月16日
石井 吉徳(故人)
エネルギーが文明を支える。
Net Energyなしには文明は損しないからで、その評価はEPRが分かり易い。
今の石油文明は安く豊かな石油なしに存在しないが、その基が減耗しつつある、それが石油ピークという。
だがなんとかなると思う日本、石油後の未来戦略がないが、これはあたかも太平洋戦争当時、神風が吹くとまさに神頼みした日本を彷彿する。
民族の性向、本質は変わらないようである。
また失敗しないためが本論である。
先ず「地球は有限、資源は室が全て」を理解する、2005年ころから原油の生産は頭打ちである、
その後起伏はあるが基本的にプラトーである。変動は経済とリンクするからだが、これがピークの姿と考えるが、いずれ急峻な下り坂に向かうとみられる。
期待の新地域、大水深など話題は多いが、「質」はとみに劣化している。
メキシコ湾の事件などは典型、石油ピークの証左なのである。
これも資源の質の問題、技術でなんとかなる、と言うことではない。
技術とは、自然の恵み利用の仕方である、資源を創るものではない。
本論は、石油ピーク、エネルギー源の質を説明し、脱石油文明に備える「日本のプラン B」10項目を論ずるものである。
大陸でない日本だが、世界6位の海岸線長をもつ。
日本の地勢を理解し自然との共存する、が戦略の要である。
地域分散がその要諦である。
この至高は島国のアジア諸国の参考となると思われる。
戦略の基本は、経済成長を正義と思わないことである。浪費しない、もったいないで、心の豊かさを求める、GDPよりGDHと、低エネルギー社会を目指すことである。
投稿者: | 石井 吉徳 |
Category: | 論文(WEB学会誌) |
日付: | 2010年8月16日 |
公開日: 2010年8月16日
松島 潤
本稿では、まず起源の観点からLCA(ライフサイクルアセスメント)とEPR(エネルギー収支比)の違いについて比較し、EPRは生物存続に係る最も素朴な点に着目している点が重要であることを述べる。
続いて、EPRを用いた社会シミュレーションにより、米国のエネルギー事情を予測した例を紹介し、EPRが単なるエネルギー指標ではなく、社会とエネルギーの関係を包括的に把握できる側面を有している点について述べる。
来るべき低エネルギー社会は、自由裁量エネルギーの減少を意味し、そのメカニズムとしてエネルギー高騰に伴う物価高騰と需要減退に伴う景気後退(すなわちスタグフレーション)を指摘する。
さらに、1970年代に起こった2回の石油ショック時における日米両国の経済的反応についても統計データを用いた比較考察を行う。
最後に、エネルギー輸入国でのEPRの考え方へ概念的に拡張することにより、日本における特有な問題を指摘する。
投稿者: | 松島 潤 |
Category: | 論文(WEB学会誌) |
日付: | 2010年5月28日 |
公開日: 2010年5月28日