松島 潤
本稿は、EPR(Energy Profit Ratio:エネルギー収支比)の定義を再検討することで、その意義を明確化することによりEPRの適切な適用を促すことを目的としている。
人間の行為を「余剰エネルギーを生産する行為」とに便宜的に分けると、EPRの本来的な適用範囲は前者である。
従って、人工物の製造や利用については、「余剰エネルギーを消費する行為」に分類され、このような場合は、EPRではなく熱効率などの効率指標を用いるべきであろう。
また、EPRの社会的な重要性として、EPR低下が高インフレ率と景気後退(スタグフレーション)をもたらし、我々の社会に深刻な影響を与えうることを示した。
投稿者: | 松島 潤 |
Category: | 解説(WEB学会誌) |
日付: | 2012年2月22日 |
公開日: 2010年2月22日
中田 雅彦
有限な地球の資源を安価に利用できる限界に近づいている。
特に石油資源がそうである。
安価な石油で成り立っている現在の高エネルギー消費社会を低エネルギー社会に早急に構築しなおさなければならない。
ここでは、国内石油消費の約35%を占める運輸部門において、石油消費量と石油依存度を低減する可能性について考察する。対象とする時間枠は2030年とした。
産業部門において具体的な石油消費低減策を検討するためには、先ず将来の絵S基油供給をおおよその精度でもよいから予測することが必要になる。
そこで、入手可能な情報に基づき短中期の供給予測を試みた。
その結果、2−3年後に石油供給不足が発生し、2020年頃には石油生産ピークが発生する可能性が高いと判断された。
2030年には、世界の石油と石油相当の液体燃料は現在の2/3程度に減少すると予測された。
上記の石油供予測に基づき、運輸部門の石油消費低減策を検討した。
石油に替わる得る適切な液体燃料候補は現時点で存在しないので、運輸部門で今までに広く用いられてきた駆動源としての新しい組み合わせに変更して行かねばならないことになる。
すなわち、ハイブリッド、プラグインハイブリッド、蓄電池電気自動車などの「電気駆動自動車」である。
しかし、液体燃料を完全に電気に置き換えるには、キマの蓄電池の数十倍の能力を持つ高性能蓄電池が必要であり、その開発のためにはまだ相当な年月がかかると言われている。
したがって、当分の間は、蓄電池の性能不足を補うために、この新しい駆動源を新しい交通システムと組み合わせることが必要になろう。
この新駆動源と新交通システムの組み合わせは2030年頃には、努力すれば実現化する可能性はある。しかしながら、数年先に発生すると予測されている石油供給不足には間に合わない。そこで、短期的に燃料消費を低減できる手法をいくつか提案する。
これらの短気、長期対策を併用することと、原子力発電の増強により、目標とする石油消費量を低減する可能性はあるが、官産民の強い意志と連携、努力が必要である。
投稿者: | 中田 雅彦 |
Category: | 研究ノート(WEB学会誌) |
日付: | 2015年5月4日 |
公開日: 2010年2月22日
Antony F.F. Boys
先進工業国は、エネルギーの総消費量の13〜18%を食料生産と消費に向けている。
このエネルギー消費の主な要素は機械類、燃料、化学製品(化学肥料や農薬)、輸送、食品加工、包装、販売と厨房関係などである。
これらの国々では、食料1カロリーを口に入れるために10カロリー程度の化石資源を消費している。
「石油ピーク」という言葉で象徴される今後の化石資源の入手困難な事態は、世界の人口の食料供給に対する大きな脅威である。
この文章の最後で、その脅威への対策を提案する。
投稿者: | Antony F.F. Boys |
Category: | 研究ノート(WEB学会誌) |
日付: | 2010年10月22日 |
公開日: 2010年2月22日
大久保 泰邦
石油ピークとは?
石油ピークとは、石油の生産のピークのことです。
一度増えた石油の生産は、やがてピークを迎え、必ず減退します。なぜなら石油は有限だからです。石油の枯渇とは生産量がゼロになることですから、石油ピークは枯渇のずっとまえに訪れることになります。
石油ピークが来ると何が起こる?
石油生産の歴史は世界の歴史そのものであり、石油ピークが到来すると、経済の混乱が起き、戦争が起きるという、この繰り返しになっています。
石油ピークはいつごろか?
石油生産量は伸び続け、1980年代半ばに発見料を上回りました。
すなわち、残っている石油の量、残存埋蔵量はそれ以来、年々少なくなっています。
ボーリングの世界最高深度は8850mであります。もうすでに8000mの深さまで掘り尽くしているのです。今後巨大油田をいくつも発見できる可能性は小さいと言えます。現在利用できるデータから考えると石油ピークは遅くとも2020年、早ければ2010年には到来します。
石油がなくなるとなぜ困るの?
我々の周りには石油製品で溢れかえり、石油で動いています。
なぜなら石油は大変便利なもので、素晴らしい力を秘めているからです。それを毎年プール250万杯分も使ってもまだまだあり、、おまけに安いのです。
この便利な資源に変わるものは残念ながらありません。無くなれば、大変なことが起こることが容易に想像できます。
なぜ石油ピークが出来るのか?
石油は一箇所蛇口を開ければ全部の石油が出てくるようなタンクのようなところにあるわけではなく、地中の地層の中に浸み込んで存在しているのです。
石油は地層の圧力でもって雑巾を絞るように押し出されます。しかし圧力が低下すれば、押し出される量も減少します。そこで生産量を一定に保とうとするのでありますが、それに反して時間とともに油層全体の圧力低下が起こり、生産ピークが出来上がります。
石油はどこからやって来たのでしょうか?
石油は海に溜まった生物の紫外から生まれました。
植物プランクトンは、太陽によって光合成をし、二酸化炭素を高エネルギーの糖質に変化させました。プランクトンの死骸は、海の浅いところで醸成され石油となるのです。
石油は適度な温度と圧力があってゆっくりと醸成されます。
石油が逃げ出さないように、蓄えるお椀をかぶせたような背斜構造とキャップロックという不透水性の地層がその上を覆うといった地質構造も必要であります。
世界の残存確認埋蔵量のうち、60%以上を中東が占めています。
なぜなら中東はこの条件にぴったりだったからです。
資源エネルギー制約が全てを支配する
資源エネルギーが制約する社会とは、資源エネルギーの量が制約されており、そのため、生産量、消費量、排気量の全てを制約するものです。
石油ピークはこの資源エネルギー制約の一つですから、我々の現代社会の全てを制約します。
石油ピークへの対策は現代が抱える全ての課題を克服できる
石油ピークを理解すると、金融資本主義の崩壊、地球温暖化、人口爆発、南北格差、テロ国家の出現、人材の流動化などの世界の課題の意味を理解することができます。
石油ピークを克服する対策を議論しましょう。
そうすれば世界が今抱えている課題の解決策は自動的に思い浮かぶのです。
投稿者: | 大久保 泰邦 |
Category: | 研究ノート(WEB学会誌) |
日付: | 2010年10月22日 |
公開日: 2010年2月22日
石川 宏
【論文】
家庭部門におけるエネルギー消費は、給湯30%と暖房22%で全体の半分を占め、この分野の省エネルギー化が求められる。
住宅の省エネルギー化にはさまざまなものがあるが、太陽の熱エネルギーを直接取り込み、暖房と給湯に用いるパッシブソーラーシステムがある。OMソーラシステムとして商品化されており、報告書には2002年に導入し、5年間のエネルギー消費、温度変化などについて統計データをとることができたので報告する。
加えてそのデータを用い、エネルギー収支の評価(EPR評価)を行った。
その結果、OMソーラシステムはエネルギー収支の良い住宅方式であるとの評価が得られた。
投稿者: | 石川 宏 |
Category: | 論文(WEB学会誌) |
日付: | 2009年9月15日 |
【正誤表】
正誤表
16ページ左、下から3行目
誤:それによると、(C)は年間 106MJ である。したがって(A)は 106 - 69MJ となる。
正:それによると、(C)は年間 106GJ である。したがって(A)は 106 - 69GJ となる。
投稿者: | 石川 宏 |
Category: | 論文(WEB学会誌) |
日付: | 2009年11月9日 |
【注釈】
OM ソーラーの「OM」とは、「おもしろい、もったいない」のこと。
OM ソーラー は、太陽エネルギーを電気に変換して使うのではなく、太陽の熱をそのまま使 うことを原理とした太陽エネルギー利用システム。
OM ソーラー株式会社ホームページより http://omsolar.jp/index.html
投稿者: | 石川 宏 |
Category: | 論文(WEB学会誌) |
日付: | 2011年4月29日 |
公開日: 2009年9月15日(正誤表掲示:2009年11月9日、注釈掲示:2011年4月29日)
尚業千、菅井径世、小川克郎
最近「もったいない学会」で赤祖父先生の学説を中心とした地球温暖化の議論が若干なされています。
私たちのグループではNASA/GISS気温データベースを用いて過去100年の地球気温変化の解析をここ2年ほど行ってきました。
最近ようやく結論が見えてきたので、本学会の主旨とは若干それているかとも思いますが、その要約を本学会で速報としてご報告させて頂きます。
私たちの研究は、昨年のIPCCの結論の科学的な過誤を結果として明らかにしていると考えます。
また逆に、赤祖父先生お考えを補強することになるのではないかと感じています。
即ち、赤祖父先生とはアプローチの仕方は違いますが、二酸化炭素の継続的排出にもかかわらず現在及び近将来の地球気温は温暖化ではなくむしろ僅かながら寒冷化するなどという点では恐らく同じような結論になっているのではないかと思います。
なお、この報告書は論文として国際誌への投稿を予定しており、その中で手法については述べるつもりです。
投稿者: | 尚業千、菅井径世、小川克郎 |
Platforms: | Windows 8 |
Category: | 速報(WEB学会誌) |
日付: | 2009年7月2日 |
公開日: 2009年7月2日
後藤 敏晴、天野 治、岡島 いづみ、佐古 猛
近年になって持続可能な社会を形成する必要性が強く認識されるようになった。
製造メーカにとっても環境や資源枯渇というキーワードが重要な世の中になってくる。
一方で、メーカが創りだす新しい環境技術を正しく評価しなければ、誤った方向に技術開発を進めてしまう可能性がある。環境面のみならず人材資源の面からも、もったいない結果を招きかねない。
エネルギーは依然として石油資源に頼る割合が高い。
その石油資源は有限である。したがって次々に新しく創造される技術はエネルギーを制約できるかどうか正しく評価したうえで社会に普及している必要がある。
そこで、本稿ではエネルギーの質の評価に用いられるEPR(Enagy Profit Ratio)の概念を用いて、一般的な製造業におけるプロセスの質を評価する方法を提案する。
EPRの概念を用いれば、新しい技術を導入したり既存のプロセスに変更を加える際、エネルギー使用効率がどのように変化したのかを定量化することが可能になる。
また、どのような工程に着目してプロセスを改善していけばいいのかを明確にすることができる。
投稿者: | 後藤 敏晴、天野 治、岡島 いづみ、佐古 猛 |
Category: | 論文(WEB学会誌) |
日付: | 2009年5月23日 |
公開日: 2009年5月23日