福島原発被災後の生涯に渡る放射能汚染と健康影響【論文】
安藤 満
東日本大震災(マグニチュードMw: 9.0、2011年3月11日)が起こってから4年が経過しているが、大震災の津波により現在に至るまで東京電力福島原発に深刻な破壊が起こっている。原発事故による放射性核種の大量放出により、原子力発電所近辺の大気、土壌、陸水等の環境さらに太平洋の海洋も、ヨウ素-131、セシウム-137、セシウム-134、ストロンチウム-90、トリチウム等各種放射性物質によって著しく汚染されている。既に原発から大気中に放出された放射能汚染の湿性沈着や乾性沈着、さらに汚染水流出によって、環境と食品が汚染されている。
原発周辺の土壌は高度の放射性物質汚染に曝され、事故後日本の広い範囲が汚染され、原発から離れた大気・水中に低濃度の放射性物質が検出されている。
現在、原発事故により汚染地域から福島県内外へ11 万5511人の人々が避難している。
放射能汚染への怖れから双葉町、大熊町、富岡町、浪江町、飯舘村、南相馬市等被災地から多数の人が原発から離れた非汚染地域へ避難している。
感受性の高いヒトの健康への深刻なリスクとして放射線や放射性物質は多種の固形がんや非固形がんの白血病(白血球のがん)の原因であることが知られている。
がん発症やがん死亡率に関する最も重要な疫学資料は、広島・長崎の原爆被爆生存者の生涯に渡る追跡調査(LSS)である。さらに最近の研究はチェルノブイリ原発事故による放射線と放射性物質に高濃度曝露を受けた60万人以上のチェルノブイリ原発作業員の白血病発生率が倍加していることを報告している。
もったいない学会WEB学会誌 Volume 7, pp. 25-63
放射線被曝量と白血病発生率・死亡率や固形がん発生率・死亡率の間には直線的関係があると報告されている。
福島の放射能汚染地域には多くの乳幼児、児童、母親が居住しているため、生涯に渡る継続的健康診断と治療の徹底が必須である。
投稿者: | 安藤 満 |
Category: | 論文(WEB学会誌) |
日付: | 2015年6月29日 |
公開日: 2015年6月29日