討議会資料

討論会「心豊かで健康で平和な低エネルギー社会へのシナリオ」のまとめ

低エネルギー社会ワーキンググループでは、「心豊かで健康で平和な低エネルギー社会へのシナリオ」をテーマに、2009年9月16日から10月20日の期間、3回にわたって議論しました。討論の総時間は14時間でありました。この長時間の議論を次のようにまとめました。

(1)石油ピークに至るシナリオ

石油生産は停滞している。これは経済不況の為であると言われているが、中東の安い石油の生産ピークがすでに到来している為とも考えられる。(シナリオ1)
2030年を迎える前に在来型、非在来型含めた全ての石油のピークが訪れる。(シナリオ2)
図1:2030年を迎える前に在来型、非在来型含めた全ての石油のピークが訪れる

ds090916_clip_image002

以下シナリオ2で考えると、次のようにまとめられる。

天然ガス、非在来型石油や二次回収による石油など高い石油が安い石油の下落を一時的に補う。
安い石油から高い石油へと移行するにつれ、石油価格は、乱高下しながら上昇するであろう。
石油ピークによって、石油・天然ガスの争奪戦が起こり、日本が輸入できる絶対量が現在の半分に減る。
石油価格は市場原理が成り立たず、政府が介入して、流通をコントロールすることになる。
経済は石油生産の下落とともに下降する。
上記のシナリオ2は可能性が高い。しかしこの情報を全世界に流せば、混乱状態になることが予想される。最近国際エネルギー機関(IEA)が発表した今後の石油生産は、天然ガス液、オイルシェール・オイルサンドなどの非在来型石油、回収率向上、未発見石油、未開発石油の量を大きく見積もり、上記のシナリオより楽観的な見通しになっている。特に当てにならないにもかかわらず、未発見石油を2030年で全体の20%としている。今、混乱状態になることを避けたいとの意図が見える。
現実的な予測は、2020年までは、天然ガス液、非在来型石油、回収率向上、未発見石油、未開発石油でなんとか現状維持、あるいは生産量増加となるであろうが、2020年を過ぎると、中東の油田の老朽化による確認埋蔵量の減少が著しくなり、石油生産量全体は下降を開始する、というものである。
欧米は、メジャーを抱えていることから石油についての知識は豊富である。石油生産に関する情報もかなり有している。つまり欧米の政策は、石油ピークを見越した政策となっている。温暖化政策もその一環と捉えることができる。
中国も産油国であり、また石炭資源も豊富なことから地下資源に関する知識は豊富である。中国も資源政策が最優先となっている。
日本は、経験や情報が不足しており、地下資源の重要性、動向に関して全く鈍感である。
突然石油不足になった場合、世界はパニック状態となる。もっとも影響を受けるのが、石油ピークを何も知らない日本であるはずだ。欧米にとってこれは好都合と考えている可能性がある。
日本が最大の被害者になりそうである。したがって、突然来る石油不足に対応する準備が重要である。
石油生産の落ち込みに対し、原子力発電や自然エネルギーの開発によってエネルギーの不足分を補う努力は行われるはずである。
しかしその開発が十分石油生産の下落を補えるという保障はない。つまりエネルギー不足は社会的なリスクと捉え、社会全体で検討することがリスクに対し強い社会を作るためには必要。

ds090916_clip_image004

(2)議論の対象を明確にする

石油ピークの時期を「現在すでに起きている」という視点から「20-30年後である」という視点までを横軸にし、石油を含む全エネルギーが「増大する」と「減少する」を縦軸とする。シナリオ1は「石油ピークが現在すでに起きている」である。この場合、石油を含む全エネルギーが増大しようが、減少しようが、とにかく石油消費を減らさなければならない。
石油ピークの時期が20-30年後であっても、もし全エネルギーが順調に増大するとすれば、これは脱石油社会を目指すことになる。
一方、全エネルギーが伸びない場合、脱石油社会だけではダメで、低エネルギー社会を目指さなければならない。
石油ピークは遅かれ早かれ訪れる。ここでは社会への影響が非常に大きい、全エネルギーが減少するケースについてのシナリオ作りを行う。つまり、緊急に石油消費の削減のシナリオと、低エネルギー社会へ変革するシナリオを検討する。
図2:議論の対象

ds090916_clip_image006

(3)日本の現状分析

現在日本が輸入している石油の量はエネルギー量に換算して10000ペタ・ジュールである。
これは日本の一次エネルギーの50%に相当する。
石油の用途別では、輸送用40%、石油化学原料20%、家庭・業務16%、鉱工業15%、電力6%、農林・水産3%。
農林・水産の3%には食品工業が含まれていない。食品加工、食品の輸送を含めた食料生産は10%以上となる。
石油によって発電される電力量は、2007年で約13万ギガ・ワット・時であり、日本の発電量(約100万ギガ・ワット・時)の13%程度を占めている。
原子力発電は電力の30%を占めている。今後40%以上になるよう増設する予定である。
しかし原子力発電は、安全性や立地の問題があり、大きく増えることを過度に期待することはできない。
2007年に新潟県中越沖地震が起き、柏崎の原子力発電所が止まった。電力不足を補うため、石油火力発電を開始した。これにより2006年は8万ギガ・ワット・時弱であった石油火力発電は、2007年は一気に13万ギガ・ワット・時に増加した。
つまり日本における原子力発電は事故災害に弱く、石油などの代替エネルギーがあってはじめて成り立つものなのである。
工業化された農業、畜産業では大量に石油を使う。また食料として我々の食卓に上るまでも大量の石油を使っている。
農業においては、肥料、農薬などの化学工業の原料や耕運機の燃料に石油を使う。
畜産業において必要な大量の飼料は、米国などの海外から輸入している。これらは大量の石油を投入して生産している。牛1頭は体重の11倍の飼料を食べる。そこで牛肉は石油の塊と言える。

ds090916_clip_image008

農作物を冷凍食品などに加工するために多くのエネルギーが使われ、包装に大量のプラスチック製品を使う。
コンビニエンスストアなどの販売店ではジャスト・イン・タイム・デリバリーのための輸送に石油を使い、家庭でも買い物に自動車を使い、調理で化石燃料を使う。
外食産業でも大量のエネルギーを使って調理を行う。輸送、保存、加工、販売、調理、ゴミ処理に使うエネルギーは、農業生産に使うエネルギーの数倍である。

ds090916_clip_image010

石油の不足は石油で動く自動車を直撃し、否応無しに交通システムの大転換となる。
現在輸送用に使われる石油の量は、エネルギー量に換算して約3800ペタ・ジュールである。これは日本の全石油の40%にあたる。
ジェット旅客機は太平洋を横断するには1万キロ近く移動する。燃料1リットルで50メートル移動するとすれば、20万キロリットルが必要になる。航空機は石油を大量消費しながら、世界を飛び回っているわけである。世界全体で航空用に使われる石油は、石油消費量の3%にあたる約10億バレルである。
(4)石油ピークが到来した時日本はどうなるか

石油ピークが到来すると石油は高騰し、バレル当たり200ドル以上になっている。
石油価格の高騰に伴って全ての物価は上昇する。
特に、肥料などの化学工業製品、車、耕運機の動力用燃料が高騰する。
これによって食料価格が上昇する。
2020年を過ぎると全石油生産のピークが訪れると、全世界の輸出入に回る石油は半減する。日本が輸入できる石油も半減する。
発電の場合

石油ピークが訪れれば、石油は輸送用、石油化学の原料が優先され、石油による発電は難しくなる。そこで石油ピークになると13万ギガ・ワット・時のエネルギーは全て削減しなければならない。
また天然ガスについても、利用に多様性が少なく、発電利用が主となるであろう。しかし石油ピークによって、天然ガスの争奪戦が起こり、輸入できる絶対量が減るはずである。
原子力も計画から発電まで10年以上かかるため、緊急な増産はできない。
結果、石油ピーク後は石油の輸入量減衰で、13万ギガ・ワット・時、減少することになる。
輸送の場合
石油消費の40%を占める輸送については、バスなどの公共機関が優先され、トラック輸送、自家用車が制約され、輸送全体で半分の20%の割合となる。
プラグインハイブリッド車、電気自動車といった電化が進むと考えられているが、日本の7500万台の自動車を全て電化することは、電力量不足、原子力発電や自然エネルギーによる発電の電力容量不足の中では不可能である。

ds090916_clip_image012

食料の場合

石油ピークが到来すると、食料の生産量が減り、食料ピークとなる。
石油価格が上昇すると、石油製品である農薬や肥料が高騰する。耕運機などの機械を動かす燃料も高騰する。そこで農産物は高騰する。
2008年の石油価格高騰の時は、日本の生鮮食料品が高騰しただけでなく、マヨネーズなどの加工食品も高騰した。
また穀類からバイオ燃料を作ることが有利になり、一部の国で穀類不足になった。
漁業においては、船の燃料代が操業コストに占める割合が高いため、燃料代の高騰によって魚介類の高騰が起こる。2008年の石油高騰の時は、いか釣り船の漁火に使う燃料が高騰し、いか漁の経費が上がり、漁として成立しなくなった。
石油ピーク後は輸入できる石油は激減する。その影響を受け、農薬、肥料、燃料が不足する。
耕運機が動かなくなり、農法を切り替えない限り、単位面積あたりの収穫量は減少する。
畜産業では、石油漬けの工業化した農法で作られた飼料によって育てられているため、石油が少なくなることにより、飼料の量が減り、家畜を飼育することが困難になる。
この傾向は、工業化農法を行っている全世界の国で同時に起こる。食料輸出国は生産量が落ち込むため、自国消費を優先させ、輸出を大幅に減少するか、もしくは全く輸出をしなくなる。
日本は海外から家畜用の飼料や加工食品を輸入している。これを維持できることは期待できない。
また国内の生産量も落ちるので、食料は減る。
(5)石油ピークを克服するシナリオ

食料の場合

○土と仲良くしよう

収穫量維持のために、あらゆる有機物を適切な形や利用法によって田畑に投入する。有機農業とは、20世紀中にできあがった、有機物による農業の在り方に関する知識・技術の集合体である。それは農業と畜産業が一体となった農業である。

日本では、戦後付加価値の高い産業とするため、作物農業と畜産農業を分離し、食品加工、輸送、販売システムを導入して工業化を進めた。現在は完全に分かれ、それぞれ独立して活動している。この状況を変え、両者がより近い、かみ合った昔の姿にする。

森林の植物や農業廃棄物を利用した堆肥作りを行う。また動物、人間の排泄物を有効活用する。このためには、堆肥の効率の良い作り方、排泄物利用の安全かつ効率の良いあり方の研究・教育活動を行う。

土壌菌などの微生物を利用する。このためには微生物の土壌における働きと利用に関する研究・普及活動を行う。

○畑仕事を楽しもう

耕地面積は現在約460万ha、耕地利用率は約93%である。両者は1955年~1960年が最大値で、耕地面積は約854万ha、利用率は140%である。この数値を達成することにより、収穫量を増加させ、自給率を向上させる。

そのためには、二毛作、二期作を行い、労働力を増加させる。また個人の庭など、家庭菜園を奨励する。

労働力の増加のため、若い人々、都市に住む人々に魅力のある農業へ転換する。都市と農業生産地を一体化させることにより、農業をサイドビジネスとなるようにする。現在景気が低迷し、会社の倒産、リストラ、労働時間の短縮など雇用不安が増大している。このリスクを軽減するために、農業をサイドビジネスするという考えは受け入れられるはずである。

ds090916_clip_image014

また、農作業の経験があり、農村に身を寄せることができる親せきがいる、あるいは移住する物理的な条件が比較的簡単に整えられる家族は、行政府が移住を支援することも有効である。

週末農作業をするなど、農業をサイドビジネスとする。つまり半農で残り半分は本業とする。

新しい労働力に対しては、農法や二毛作、二期作に関する知識について、行政府が支援し、農業生産者が中心となって教育を行う。

労働力を補うためには農耕機械は必要になる。この燃料は石油を使わず、バイオ燃料を使う。バイオ燃料は余剰生産物を利用して製造する。また電気で動く農耕機械を作る。

家畜を利用し、不足した労働力を補う。

家畜の育成には、国土の65%を占める森林を利用する。しかし、森林は偏在しているので、効率よく田畑で利用できるシステムを研究する。また家畜の飼料用として、人間の残飯を利用する。そのためには残飯を集めるシステムを研究する。

○食生活を考えよう

輸送、食品工場における加工や包装、小売店や飲食店での調理、照明、冷凍、冷蔵、空調、食品ロスや廃棄を減らす。また肉食や遠洋ものの魚介類など、動物性タンパクを控え、植物由来の食品を中心とした食生活の改善を図る。また加工食品を控え、自分で調理する。

このためには、長距離輸送を抑制する。グラス瓶などのリユースを行う。店の開店時間を昼間に限る。バイオマスチップや太陽光などの自然エネルギーを利用する。納豆、醤油などの伝統食品加工を奨励する。

有機物の循環システムを研究し、実践する。

ds090916_clip_image016

○バイオリージョンを作ろう

遠距離の物流を行わない地産地消の社会を築く。これは地方分散型である。しかし「地方」というものの広がりを考えた場合、村単位では小さすぎ、窮屈で、物によっては余ったり不足したりすることになる。周りの村と「貿易」が始まり、ある程度の広がりで何らかの形の緩やかな連帯が出来上がるだろう。また逆に「地方」という単位が大きくなり過ぎてしまえば、周辺にある共同体が実質的に隣の「地方」の方向を向いて、帰属意識が薄くなる。ちょうど良い大きさが、バイオリージョン(bioregion, 生態域またはエコリージョンともいう)である。

バイオリージョンは、定義すれば「陸地および水圏の比較的大きな地域を含み、地理的に異なった特徴的な生態系の集合体を含む」となる。ここでは人間集団の基本生活を営む上、すべての要素を有する地域と考える。

日本の場合には、典型的に言えば、海と平地と山があるひとまとまりの地域である。ほかの地域と貿易しなくても基本的な生活ができ、内部の物流によってすべてのニーズが満たされる地域ということである。海の魚介類、米、野菜、果物、服装のための繊維、動物たんぱく質を供給する牧草地、家や燃料のための木材などは、この地域内で確保される。北関東や南関東がそれぞれバイオリージョンになる。日本はいくつか(20程度?)の、それぞれ基本的な生活の必需品自給率100%のバイオリ―ジョンからなる連合国になるという姿が浮かび上がる。

バイオリージョン実現のためには、低エネルギー社会のシナリオを実践しつつ、その成果を生かしつつ構想する。

ds090916_clip_image018

○すぐにできるシナリオ

●田畑に隣接する森を有効に利用する。
森を間伐し、下草を刈って整備し、家畜を放牧する。これは行政府と農家が連携して開発する。

●堆肥作りを行う。
森から採られた植物から堆肥や燃料用の木材チップを作る。これは地元の農業研究所と行政府が連携して開発する。

●農家に郊外に住む都市労働者のアルバイトの機会を作る。
行政と農家が連携し、都市に通勤している人々に、農家で働く場を提供する制度を作る。農業に関する学習の場も設置する。

●食生活の改善
一人一人が、動物性タンパクを控えた食材を用いた料理を学習し、実践する。加工食品は控え、なるべく生の食材を使う。

●買い物の仕方の変更
買い物は徒歩、自転車を使って移動し、近くの商店で行う。夜間開店する店を無くし、買い物は昼間だけにする。

ds090916_clip_image020

輸送の場合

○急がば回れ
エネルギー源を電気とする乗り物の利用を拡大する。鉄道のような大量輸送手段と、ライトレールや小型電気自動車による短距離、小規模輸送手段の組み合わせにする。

貨物輸送には、鉄道、船を利用して行う。貨物駅からはプラグインハイブリッドトラック、電気トラックで運ぶ。

石油ピークが到来すれば、航空機利用は制限される。

日本の船舶の多くは石油の輸送に使われている。石油ピーク後は石油の輸送は当然減少し、船舶が余るはずである。そこで海外との移動手段は、石油タンカーを改良した船を利用する。

現代の価値感は「時は金なり」である。しかしこれは競争社会の価値感である。石油ピーク後は、自然を楽しみ「急がば回れ」の価値観が重要である。船で釣りや海の科学を学習し、ゆっくり過ごして、自然を学ぶ。心豊かな旅である。

日本は海洋国である。船の旅は新産業を生むはずである。

○自転車に乗ろう

勤務のための移動距離を短縮するために、勤務地を地元とする。移動手段は鉄道、自転車、徒歩とする。

自転車の利用拡大のためには、車優先の交通システムを、自転車と歩行者優先のシステムに変える必要がある。日本では1970年の道路交通法によって、自転車の歩道通行を認めた。自転車の通行を認めたといっても、自転車の移動は歩行者程度の速度での徐行である。しかし自転車を歩く速度で走るのでは意味がない。実際には自転車は速度を上げて、歩行者の間を縫うように走行している。これは危険であり、自転車の利用拡大には到底繋がらない。

欧州の多くの国では、車道の端を自転車専用のスペースにしている。そこは、一般自動車もバスも、駐車スペースに移動するために横切る以外は通行することはできない。歩道とは完全に分離している。

日本でもこれから自動車の台数が減るであろうから、現有の道路を利用して、自転車専用スペースを作れるはずである。自転車利用は、健康増進にも繋がり、副次的な効果もある。

ds090916_clip_image022

○すぐにできるシナリオ

●適切車速、加減速をさける、アイドル停止などの低燃費運転を促進する。これは行政による講習会開催や、キャンペーンを行い、一般市民に徹底させることで効果が上がる。

●近所同士で相乗りを行い、2人以上で移動するようにする。また乗り入れ制限やカーシェアリングを普及させることも自動車の使用頻度を下げる効果がある。

●燃費の悪い大型車は避け、小型車に乗り換える。

●バスや電車など、現行公共交通機関をなるべく使う、近所に出かけるのであれば自転車を使うなど、自家用車の使用頻度を減らす。

●次に公的機関による法規制や交通システムの改善が挙げられる。パリにおいては最高速度を下げたために、時間当たりの移動距離が伸びたとの報告がある。つまり都市部では、最高速度を下げた方が、効率良く移動できるのである。最適な速度を考え、必要であれば最高速度を下げる。

●新しい道路を作るのではなく。既存の道路を有効に使い、自転車や歩行者が安心して通れる交通にする。例えば、対面通行の二車線道路を、片側一車線だけ一方通行の車道とし、反対の車線を自転車専用道路と歩行者専用道路にする。これは現行の道路でできることである。

●また、公共交通機関を拡充し、バス停での待ち時間を減らすなど利用者へのサービスを改善することにより、自動車の利用頻度を下げる。

●採算が合わないという理由から各地で鉄道が廃止されている。これは低エネルギー社会とは逆行している。行政が支援し、鉄道の維持に努力する。

●日本のガソリン税は決して高くはない。今後石油の使用量を減らすために石油に対する課税は強化する。

●物流に関しては、トラックが主流になった。これは消費者側のニーズに合わせた迅速な商品の提供を目指した結果である。しかし今後トラック輸送はコスト高になるはずである。コスト削減のためにも、船舶、鉄道を利用し、迅速性については諦めることが必要である。
(6)豊かさとは

石油は動力源となり、人に代わって労働力を提供している。我々現代人は石油を利用することによってたくさんの奴隷を手に入れたことになる。また石油は安価であること、加工が簡単で大量生産が可能であることから、あらゆる製品を生み出している。すなわち現代は物質的に豊かな石油文明である。
しかしモノの豊かさを得た半面、失われものもある。それは、戦後の復興時の日本人の目の輝きであり、タイの山岳民族にある家族の絆である。
「もったいない」とは、自然に感謝、敬愛し、謙虚になる心である。この心は物質を支配しようとする心でなく、むしろ自然とともに生きる心である。この心があった昔の日本人は、決して不幸ではなかった。むしろ現在より心は豊かであった。
心豊かで健康で平和な低エネルギー社会とは、この失われた心の豊かさを取り戻すことである。
<参考資料>議事メモ

第1回会合
日時:2009年9月16日 10時-16時
場所:東京大学本郷
出席者:アントニー F.F. ボーイズ、鳥木晃、中田雅彦、西村豊、松島潤、大久保泰邦
ds090916_clip_image024
ds090916_clip_image026
ds090916_clip_image028
ds090916_clip_image030
第2回会合
日時:2009年10月6日 10時-14時
場所:東京大学本郷
出席者:アントニー F.F. ボーイズ、鳥木晃、中田雅彦、西村豊、松島潤、大久保泰邦
ds090916_clip_image032
ds090916_clip_image034
第3回会合
日時:2009年10月20日 10時-14時
場所:東京大学本郷
出席者:旭岡勝義、アントニー F.F. ボーイズ、鳥木晃、中田雅彦、中山弘、西村豊、松島潤、
山本達也、大久保泰邦
ds090916_clip_image036
ds090916_clip_image038
参考文献

アントニー F.F. ボーイズ(2009)石油ピーク後の食料事情、もったいない学会web学会誌.
大久保泰邦(2009)石油ピークって何?、もったいない学会web学会誌.
中田雅彦(2009)運輸部門の石油消費低減に関する一考察、もったいない学会web学会誌.